バジルサイト管理人によるバジル好きのためのブログ。 バジルに関する短編小説やイラスト、萌え語りなどを載せています。
今日もみんなでバジってこーぜ。
さくらさんから頂きましたお題、ひっこしですー。
===============
引っ越し ツナ+バジル
「笑わないですか?」
「笑わない・・・と、思うけど・・・・」
「・・・」
「わ、笑わない!笑わないから、教えてよっ」
「・・・沢田殿にそのように言われてしまっては、教えないわけには・・・」
「う・・・そういう言い方をされるとオレも弱いんだけど・・・」
「・・・じゃあ、笑っても良いですけど・・・絶対ひみつですよ?」
そんな前置きをやり取りして、話すのに至ったのは・・・
「怖いもの」
ふとした話の中で、ツナが憧れと嫉妬交じりにバジルくんは何でもできるし何でも平気そうですごいなぁ、なんて漏らしたのにまさかと首を横に振ったバジルに、じゃあ何がだめなんだと問い詰めてやっとここまで辿り着いたのだ。
「拙者にだって、怖いものくらいあります。」
「・・・そう、かもだけど・・・でも全然思いつかない。」
「・・・そりゃあ拙者だってマフィアの端くれですから。任務だって、・・・怖くて行けないなんて言えませんし大丈夫です。おばけもそんなに信じていません・・・でも、・・・でも、あれだけが拙者は怖いんです。」
ごくり。
息を飲んで、ツナが待ったその言葉は。
「・・・ダンボールが・・・」
「・・・は?」
「拙者、ダンボールが怖いんです。あぁ、普通のダンボールというか・・・あの、引っ越し用に荷詰めしたあれが怖いんです。」
「・・・ごめん、全然わからない・・・」
笑う前に、理解ができない。
まだお化けが怖いとか言ってくれた方が笑えたかもしれない。
「昔ですね、アジトの引越しに立ち会ったのですが・・・その時拙者はまだ小さくて、余裕であの箱に入れたんです。そしたら親方様が、空の箱を持っていらして・・・
『これがバジルを入れる箱な』と・・・仰って・・・それから引っ越しまでの数日間、他の荷物が詰められていくのを横目に、いつ拙者はあの箱に入れられてしまうのだろうかとずっと怖くて怖くて・・・」
「・・・・」
「あれ以来、だめなんです・・・怖くって・・・」
「・・・いや、それは・・・・・ごめん。」
まぁ笑い話だが、それでも小さい頃に聞いたら怖いかもしれない。
自分だって幼い頃、悪戯をした時に「押入れに閉じ込める」と奈々に言われた時は怖かったものだ。
いろんな意味で笑えなかったバジルの怖いもの。
とりあえず、そんな彼はかわいらしいと思いつつ、そんな彼を作り上げた父親にはまた小言のひとつでも言わなければとツナは小さくため息を吐くのだった。
=============
引っ越しといったらダンボール!
さくらさん、新しいおうち楽しみにしています(笑)
さて、お次は・・・「困った!」でお願いします。
今、左目にごみが入ったのか何かで涙が止まらなくて困っているのでお題に活用。
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引っ越し ツナ+バジル
「笑わないですか?」
「笑わない・・・と、思うけど・・・・」
「・・・」
「わ、笑わない!笑わないから、教えてよっ」
「・・・沢田殿にそのように言われてしまっては、教えないわけには・・・」
「う・・・そういう言い方をされるとオレも弱いんだけど・・・」
「・・・じゃあ、笑っても良いですけど・・・絶対ひみつですよ?」
そんな前置きをやり取りして、話すのに至ったのは・・・
「怖いもの」
ふとした話の中で、ツナが憧れと嫉妬交じりにバジルくんは何でもできるし何でも平気そうですごいなぁ、なんて漏らしたのにまさかと首を横に振ったバジルに、じゃあ何がだめなんだと問い詰めてやっとここまで辿り着いたのだ。
「拙者にだって、怖いものくらいあります。」
「・・・そう、かもだけど・・・でも全然思いつかない。」
「・・・そりゃあ拙者だってマフィアの端くれですから。任務だって、・・・怖くて行けないなんて言えませんし大丈夫です。おばけもそんなに信じていません・・・でも、・・・でも、あれだけが拙者は怖いんです。」
ごくり。
息を飲んで、ツナが待ったその言葉は。
「・・・ダンボールが・・・」
「・・・は?」
「拙者、ダンボールが怖いんです。あぁ、普通のダンボールというか・・・あの、引っ越し用に荷詰めしたあれが怖いんです。」
「・・・ごめん、全然わからない・・・」
笑う前に、理解ができない。
まだお化けが怖いとか言ってくれた方が笑えたかもしれない。
「昔ですね、アジトの引越しに立ち会ったのですが・・・その時拙者はまだ小さくて、余裕であの箱に入れたんです。そしたら親方様が、空の箱を持っていらして・・・
『これがバジルを入れる箱な』と・・・仰って・・・それから引っ越しまでの数日間、他の荷物が詰められていくのを横目に、いつ拙者はあの箱に入れられてしまうのだろうかとずっと怖くて怖くて・・・」
「・・・・」
「あれ以来、だめなんです・・・怖くって・・・」
「・・・いや、それは・・・・・ごめん。」
まぁ笑い話だが、それでも小さい頃に聞いたら怖いかもしれない。
自分だって幼い頃、悪戯をした時に「押入れに閉じ込める」と奈々に言われた時は怖かったものだ。
いろんな意味で笑えなかったバジルの怖いもの。
とりあえず、そんな彼はかわいらしいと思いつつ、そんな彼を作り上げた父親にはまた小言のひとつでも言わなければとツナは小さくため息を吐くのだった。
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引っ越しといったらダンボール!
さくらさん、新しいおうち楽しみにしています(笑)
さて、お次は・・・「困った!」でお願いします。
今、左目にごみが入ったのか何かで涙が止まらなくて困っているのでお題に活用。
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アァ!!
一日遅れました!!すみません~~。
最近ネットを騒がせてるウィルスが心配で更新どうかと思いましたが。
今の所 ブログは大丈夫そうなので更新しますです。
うちにPCさん達はチェックしたところクリアでしたので安心してくださいー。
でも暫く怖くでネット遊びは控えめです。
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アレをですが…何か?
てなことで、頂いたお題はお姫様抱っこでしたー。
してませんが。
ホントは昨日UPしようとちょっとアニメ作ってたんですがwebアニメーターがいなくなってしまったので断念。線画アニメだったんですがいつか機会があったら…っていうか…何処いったんだろう…★rz
で、急遽4コマ(汗)
次のお題は…
もう直ぐ私がリアル引越しなので「お引越し」で!
お願いします~。
一日遅れました!!すみません~~。
最近ネットを騒がせてるウィルスが心配で更新どうかと思いましたが。
今の所 ブログは大丈夫そうなので更新しますです。
うちにPCさん達はチェックしたところクリアでしたので安心してくださいー。
でも暫く怖くでネット遊びは控えめです。
アレをですが…何か?
てなことで、頂いたお題はお姫様抱っこでしたー。
してませんが。
ホントは昨日UPしようとちょっとアニメ作ってたんですがwebアニメーターがいなくなってしまったので断念。線画アニメだったんですがいつか機会があったら…っていうか…何処いったんだろう…★rz
で、急遽4コマ(汗)
次のお題は…
もう直ぐ私がリアル引越しなので「お引越し」で!
お願いします~。
連休、明けましたね。
ふみやは浅草とI〇EAに行きました。
浅草ではピンズのがちゃがちゃをやったのですが
見事シークレットを引き当てました。
IK〇Aには二度と行きたくないです。
さて!
ソーダ水、私も好きな言葉です。
ではでは!
―――――
曹達水。
恭弥殿の目は
きれいな黒瑪瑙の色をしているのだけれども
ようく見ていると
透明な部分も大分多いようで、
更にじぃっと見ていると
曹達水のようにそれがきらきらとしているのです。
あんまり見つめていますと
恭弥殿はほっぺたを紅くします。
「…あんまり見ないで。」
とお叱りをうけてしまいますが、
拙者は恭弥殿の目を見ているのが
とても好きなのです。
よくも、と思うほど雨が降る。
雲雀恭弥は沢田家に電話をかけた。
沢田奈々が出たので
丁寧に
バジルさんはいらっしゃいますか、
と尋ねる。
すると沢田奈々は
バジル君は今お遣いに出てましておりませんのよ、
と丁寧に返事をした。
そうですか、失礼いたしました。
と雲雀は携帯を切る。
バジルの居ない沢田家なぞ、
存在する意味も無い。
そう思いながら
雲雀はトレンチを羽織って家を出た。
緑と水の混じった匂いがする。
新緑は指先を広げるように旺盛に茂り、
雨にただよう花の香りも濃やかだ。
家々に飾られているこいのぼりは
雨に打たれ空を泳ぐことはできない。
ただしとど濡れて鉄棒に貼り付いている。
雲雀はあまり雨が好きではなかった。
連休のさなかというのに、
商店街は人が少ない。
雨であるというのもあるし、
高速道路の料金値下げによって
人々が地方に行ってしまっているのだろう。
まあ、
人が少ないというのは
雲雀にとって喜ばしいことである。
バジルを見つけるのは、容易かった。
ことあるごとに駄菓子屋に張り付いているのだ。
今日も物欲しそうに駄菓子屋の店先で
菓子や玩具を眺めていた。
「バジル。」
雲雀は、少し不機嫌さを装って声を掛けた。
「あっ、恭弥殿…、」
雲雀を見ると、
バジルは少し頬を染めながら
手にしていた生成りのエコバッグを咄嗟に後ろ手にした。
「後でおうちにお伺いしようと思ってましたのに。」
「君の気まぐれを待っていたら
今日が終わってしまうからね。」
「気まぐれは誰ですか…。」
「ねぇ、
知っていますか。
恭弥殿の瞳は
曹達水みたいなんですよ、」
脈絡のないことを突然言いだす。
雲雀は面食らったがいつものことなので
バジルの思考を推測してみた。
「飲みたいの、ソーダ。」
「違いますよ。
でも、
おごってくれるなら飲みます。」
全く、この子は。
雲雀は少し呆れながら100円を店主に渡す。
栓を抜いたソーダを渡されたバジルは
一口飲んで雲雀に渡した。
「そういうことではなくて、
…こう、
ぱちぱちというか、
きらきらというか…。」
一口含んだ雲雀はそれを聞きながら
バジルの無垢に心から安堵した。
それでこそ僕の恋人。
「ねぇ。」
遮って雲雀が口を開く。
「はい。」
「今日僕が君に会いたかったの、」
言いながら、
雲雀はバジルの手を引いて
人の目に付かないところに移動する。
そして、
耳元で囁いた。
「君の目を見てると青空を見た気がするから。」
近づきすぎた二つの傘が、
ぶつかって落ちる。
傘の落下の時間は短いようだったが、
瞬間口付けている時間はとても長く感じられた。
「それは…、」
思わず雲雀のコートの腰辺りを掴んだバジルは
少し蕩けた目をしていたが、
雲雀ははぐらかした。
「君が能天気ってことだよ。」
それで、
二人は笑うことができた。
「忘れるところでした。」
沢田家に送っていく途中、
バジルはエコバッグの中から白い包みを出した。
「お誕生日おめでとうございます。
お口にあうかわかりませんが。」
「何で今日が誕生日だって知ってるの、」
「ボンゴレをなめてはいけません。」
にこりと笑ってソーダ水を傾ける。
そして、
バジルはソーダ水の壜をかざして
雲雀の顔と見比べた。
「やっぱり、
曹達水は恭弥殿の目みたいです。
ぱちぱちして、
きらきらしてる。」
「…意味がわからない。」
「拙者にだけわかればいいんです。」
恭弥殿の目は
きれいな黒瑪瑙の色をしているのですが、
じぃっと見ていると
曹達水のようにきらきらぱちぱちしているのです。
屹度誰に言ってもわからない。
拙者だけのヒミツです。
今日の恭弥殿は、
一つ歳をとって
少しだけ大人になったようでした。
今日のように、
ずっと一緒にいたいなぁと思いました。
―――――
折角なので
ヒバリさんのお誕生日で。
ちょっとわかりづらい話…かと思いましたが
解説すると興が冷めるので
あえてわからないままで!
ヒバリさんの目は
きらきらぱちぱちしてるんです。
では、
さくらさんへのお題は…
『お姫様抱っこ』
で!
そのまんまでもいいですし、
さくらさん流に曲解してもウェルカムです!
よろしくお願いします~!
ふみやは浅草とI〇EAに行きました。
浅草ではピンズのがちゃがちゃをやったのですが
見事シークレットを引き当てました。
IK〇Aには二度と行きたくないです。
さて!
ソーダ水、私も好きな言葉です。
ではでは!
―――――
曹達水。
恭弥殿の目は
きれいな黒瑪瑙の色をしているのだけれども
ようく見ていると
透明な部分も大分多いようで、
更にじぃっと見ていると
曹達水のようにそれがきらきらとしているのです。
あんまり見つめていますと
恭弥殿はほっぺたを紅くします。
「…あんまり見ないで。」
とお叱りをうけてしまいますが、
拙者は恭弥殿の目を見ているのが
とても好きなのです。
よくも、と思うほど雨が降る。
雲雀恭弥は沢田家に電話をかけた。
沢田奈々が出たので
丁寧に
バジルさんはいらっしゃいますか、
と尋ねる。
すると沢田奈々は
バジル君は今お遣いに出てましておりませんのよ、
と丁寧に返事をした。
そうですか、失礼いたしました。
と雲雀は携帯を切る。
バジルの居ない沢田家なぞ、
存在する意味も無い。
そう思いながら
雲雀はトレンチを羽織って家を出た。
緑と水の混じった匂いがする。
新緑は指先を広げるように旺盛に茂り、
雨にただよう花の香りも濃やかだ。
家々に飾られているこいのぼりは
雨に打たれ空を泳ぐことはできない。
ただしとど濡れて鉄棒に貼り付いている。
雲雀はあまり雨が好きではなかった。
連休のさなかというのに、
商店街は人が少ない。
雨であるというのもあるし、
高速道路の料金値下げによって
人々が地方に行ってしまっているのだろう。
まあ、
人が少ないというのは
雲雀にとって喜ばしいことである。
バジルを見つけるのは、容易かった。
ことあるごとに駄菓子屋に張り付いているのだ。
今日も物欲しそうに駄菓子屋の店先で
菓子や玩具を眺めていた。
「バジル。」
雲雀は、少し不機嫌さを装って声を掛けた。
「あっ、恭弥殿…、」
雲雀を見ると、
バジルは少し頬を染めながら
手にしていた生成りのエコバッグを咄嗟に後ろ手にした。
「後でおうちにお伺いしようと思ってましたのに。」
「君の気まぐれを待っていたら
今日が終わってしまうからね。」
「気まぐれは誰ですか…。」
「ねぇ、
知っていますか。
恭弥殿の瞳は
曹達水みたいなんですよ、」
脈絡のないことを突然言いだす。
雲雀は面食らったがいつものことなので
バジルの思考を推測してみた。
「飲みたいの、ソーダ。」
「違いますよ。
でも、
おごってくれるなら飲みます。」
全く、この子は。
雲雀は少し呆れながら100円を店主に渡す。
栓を抜いたソーダを渡されたバジルは
一口飲んで雲雀に渡した。
「そういうことではなくて、
…こう、
ぱちぱちというか、
きらきらというか…。」
一口含んだ雲雀はそれを聞きながら
バジルの無垢に心から安堵した。
それでこそ僕の恋人。
「ねぇ。」
遮って雲雀が口を開く。
「はい。」
「今日僕が君に会いたかったの、」
言いながら、
雲雀はバジルの手を引いて
人の目に付かないところに移動する。
そして、
耳元で囁いた。
「君の目を見てると青空を見た気がするから。」
近づきすぎた二つの傘が、
ぶつかって落ちる。
傘の落下の時間は短いようだったが、
瞬間口付けている時間はとても長く感じられた。
「それは…、」
思わず雲雀のコートの腰辺りを掴んだバジルは
少し蕩けた目をしていたが、
雲雀ははぐらかした。
「君が能天気ってことだよ。」
それで、
二人は笑うことができた。
「忘れるところでした。」
沢田家に送っていく途中、
バジルはエコバッグの中から白い包みを出した。
「お誕生日おめでとうございます。
お口にあうかわかりませんが。」
「何で今日が誕生日だって知ってるの、」
「ボンゴレをなめてはいけません。」
にこりと笑ってソーダ水を傾ける。
そして、
バジルはソーダ水の壜をかざして
雲雀の顔と見比べた。
「やっぱり、
曹達水は恭弥殿の目みたいです。
ぱちぱちして、
きらきらしてる。」
「…意味がわからない。」
「拙者にだけわかればいいんです。」
恭弥殿の目は
きれいな黒瑪瑙の色をしているのですが、
じぃっと見ていると
曹達水のようにきらきらぱちぱちしているのです。
屹度誰に言ってもわからない。
拙者だけのヒミツです。
今日の恭弥殿は、
一つ歳をとって
少しだけ大人になったようでした。
今日のように、
ずっと一緒にいたいなぁと思いました。
―――――
折角なので
ヒバリさんのお誕生日で。
ちょっとわかりづらい話…かと思いましたが
解説すると興が冷めるので
あえてわからないままで!
ヒバリさんの目は
きらきらぱちぱちしてるんです。
では、
さくらさんへのお題は…
『お姫様抱っこ』
で!
そのまんまでもいいですし、
さくらさん流に曲解してもウェルカムです!
よろしくお願いします~!
ネコって・・・呼ぶと一瞬「はっ」と振り返って、すぐそっぽ向くのにまた呼ぶと「はっ」と振り返るところが可愛いです。
でもお話は可愛げの欠片も無い話で・・・10年後スクバジです。
[ネコ]
くしゃ、と濡れる髪を撫でられた。言外に、さっさと乾かせと鋭い目が言っている。
それに睨むように不満げな視線を返せば、バスタオルを投げられた。
「せめて早く拭け。テメェは碌に自分の世話も出来ねぇのか」
「冗談・・・自分とお前の世話までしていますよ。」
「言うじゃねぇか。」
言ってから、失敗したと解っていた。どう考えたって、世話をされているのは自分なのだ。
スクアーロはこう見えて家庭的で、自分はこれで居て大雑把。悪い意味で。
髪だって、面倒になって妖怪さながらに湿ったまま放置してソファで寝転んでいるところをスクアーロに強制連行でドライヤーを当てられるのが日常茶飯事。
バジルからすれば、彼があんなにも細かく髪に気を使っていられるのはいっそ才能だとすら思っている。自分ではどうやったって無理だった。
結局今日も、呆れたというより諦めたスクアーロがドライヤーを手に戻ってくるのを横目で見ながら、されるがままに髪を乾かされる。我ながらふてぶてしいと思ったが、この男の前でだけだ。人生の内で、そう長い時間じゃあない。偶には、これくらい。
不意に、熱風の音に混ざってスクアーロが笑った。鼻で。
ネコみたいな奴だ、と。どこを差して言ったのかは知れない。
「そうですか?」
「あいつらの前じゃあ犬だけどなぁ。」
「・・・猫、飼った事があるんですよ。」
悪戯っぽく振り返る。スクアーロは少し、意外な顔をしていた。
バジルは物にも人にも執着をあまりしない。否、執着をしてもその中心に自分はいない。だから、ペットを飼うなんて意外だったのだろう。
「・・・昔、野良を拾って。」
「笑い話か?」
「でも3日しかいませんでしたけどね。・・・逃げられました。」
今度は彼は盛大に笑った。彼の笑いの的を射るようなオチだったのだろう。
「野良犬が猫を飼うなんざ、聞いたこと無ぇからなぁ?」
「ご飯、あげたんですけどね・・・名前もあげたのに。薄情な奴でした。」
スクアーロは相変わらず笑っているが、思い出すと少し悲しい。
自分は、かなり本気だったのに。一緒に生きていこうと思っていたのに。
「分不相応だったんだろ、テメェが命を預かるなんざ。・・・自分の命の面倒見れるようになってからだなぁ?」
「なんとでも。」
スクアーロの言葉が苦い。でも、長い髪の一房を丁寧に乾かす彼にこの表情は読めていないだろう。
そう、分不相応だったのだ。きっと。
猫が欲しかったんじゃない。命が欲しかったのだから。自分無しでは世界にいられない、命が掌の中に欲しかった。なんて、馬鹿らしくて卑怯なことだろう。
そんな打算的な事を思っていたからきっと、あの猫だって。
「ほらよ」
終わった、と仕上げのようにスクアーロが髪を救う。
先程までとは別物のような、柔らかで繊細な髪がスクアーロの掌で流れる。
猫は丁度、この髪と同じ色をしていた。なんて言ったらこの男はまた笑うのだろう。だから、言わないでおいた。
昔、掌の中に命を欲しがって猫を飼おうとした自分が
彼好みの長髪を彼の掌の中で遊ばせる、猫になってしまうなんて。
酷く屈辱的なような気もするが、でも、それでも構わない。
だって命が欲しかったのは、きっと、要するに。
傍に温もりが欲しかったということで、得たかったのはきっと、呼吸の出来る居場所で。
今それがここにあるのならば、猫がどちらでも構わないのだから。
人生の中で今だけ、ほんの、少しだけ。
掌に甘える猫でいたい。
================
セーラーに引き続き、お題は可愛いのにあまり可愛げの無いバジルくんで失礼しました。
次のお題は・・・ピクニックでお願いします!
でもお話は可愛げの欠片も無い話で・・・10年後スクバジです。
[ネコ]
くしゃ、と濡れる髪を撫でられた。言外に、さっさと乾かせと鋭い目が言っている。
それに睨むように不満げな視線を返せば、バスタオルを投げられた。
「せめて早く拭け。テメェは碌に自分の世話も出来ねぇのか」
「冗談・・・自分とお前の世話までしていますよ。」
「言うじゃねぇか。」
言ってから、失敗したと解っていた。どう考えたって、世話をされているのは自分なのだ。
スクアーロはこう見えて家庭的で、自分はこれで居て大雑把。悪い意味で。
髪だって、面倒になって妖怪さながらに湿ったまま放置してソファで寝転んでいるところをスクアーロに強制連行でドライヤーを当てられるのが日常茶飯事。
バジルからすれば、彼があんなにも細かく髪に気を使っていられるのはいっそ才能だとすら思っている。自分ではどうやったって無理だった。
結局今日も、呆れたというより諦めたスクアーロがドライヤーを手に戻ってくるのを横目で見ながら、されるがままに髪を乾かされる。我ながらふてぶてしいと思ったが、この男の前でだけだ。人生の内で、そう長い時間じゃあない。偶には、これくらい。
不意に、熱風の音に混ざってスクアーロが笑った。鼻で。
ネコみたいな奴だ、と。どこを差して言ったのかは知れない。
「そうですか?」
「あいつらの前じゃあ犬だけどなぁ。」
「・・・猫、飼った事があるんですよ。」
悪戯っぽく振り返る。スクアーロは少し、意外な顔をしていた。
バジルは物にも人にも執着をあまりしない。否、執着をしてもその中心に自分はいない。だから、ペットを飼うなんて意外だったのだろう。
「・・・昔、野良を拾って。」
「笑い話か?」
「でも3日しかいませんでしたけどね。・・・逃げられました。」
今度は彼は盛大に笑った。彼の笑いの的を射るようなオチだったのだろう。
「野良犬が猫を飼うなんざ、聞いたこと無ぇからなぁ?」
「ご飯、あげたんですけどね・・・名前もあげたのに。薄情な奴でした。」
スクアーロは相変わらず笑っているが、思い出すと少し悲しい。
自分は、かなり本気だったのに。一緒に生きていこうと思っていたのに。
「分不相応だったんだろ、テメェが命を預かるなんざ。・・・自分の命の面倒見れるようになってからだなぁ?」
「なんとでも。」
スクアーロの言葉が苦い。でも、長い髪の一房を丁寧に乾かす彼にこの表情は読めていないだろう。
そう、分不相応だったのだ。きっと。
猫が欲しかったんじゃない。命が欲しかったのだから。自分無しでは世界にいられない、命が掌の中に欲しかった。なんて、馬鹿らしくて卑怯なことだろう。
そんな打算的な事を思っていたからきっと、あの猫だって。
「ほらよ」
終わった、と仕上げのようにスクアーロが髪を救う。
先程までとは別物のような、柔らかで繊細な髪がスクアーロの掌で流れる。
猫は丁度、この髪と同じ色をしていた。なんて言ったらこの男はまた笑うのだろう。だから、言わないでおいた。
昔、掌の中に命を欲しがって猫を飼おうとした自分が
彼好みの長髪を彼の掌の中で遊ばせる、猫になってしまうなんて。
酷く屈辱的なような気もするが、でも、それでも構わない。
だって命が欲しかったのは、きっと、要するに。
傍に温もりが欲しかったということで、得たかったのはきっと、呼吸の出来る居場所で。
今それがここにあるのならば、猫がどちらでも構わないのだから。
人生の中で今だけ、ほんの、少しだけ。
掌に甘える猫でいたい。
================
セーラーに引き続き、お題は可愛いのにあまり可愛げの無いバジルくんで失礼しました。
次のお題は・・・ピクニックでお願いします!