バジルサイト管理人によるバジル好きのためのブログ。 バジルに関する短編小説やイラスト、萌え語りなどを載せています。
今日もみんなでバジってこーぜ。
ちゃーっす。
ちゃっちゃちゃーっす。
ふみやですよおおおおお。
カリ。さん、心配しないで!!
バトンしっかり受け取りました~!
風流になるかどうかはわかりませんが…
吟じます!
―――――
秋の夜長。
このところ空気が澄んで、
空が遠いように感じる。
朝顔は花をつけなくなってしまった。
無花果が、色づいている。
山本武は
秋の野球大会の練習で
いつも帰りが遅くなってしまう。
父は父で、仕事があるので
特に不都合は無かったが、
ツナや獄寺と一緒になる時間が短くなったのが
少し寂しい。
この大会が終われば
高校受験だから、
山本は悔いを残したくなかった。
野球推薦の自分はともかく、
勉強のために野球を諦めなければならなくなった
チームメイトたちのために。
妬まれているのも、
知っている。
山本は努力を表に出すような人間ではなかったので、
野球を続けられなくなったことが
自分の所為だと思わない人間から、
妬まれる。
山本は気付かない振りをした。
気温の下降が
人の気持ちを憂鬱にさせる。
9月26日。
その日の練習を終わらせた山本は、
腹が減って仕方が無かったので
家に帰る前に
肉まんでも買って帰ろうと思い
学校と家との中間にあるコンビニに向かった。
すると、
コンビニ少し手前で、
見知った顔に気付いた。
「あ、山本殿、よかった間に合って。」
ひらひらと手を振るのは、
バジル。
左手には風呂敷を携えている。
「これ、沢田殿の母上殿からです。
毎日遅くまでご苦労様、と。」
街灯に照らされて陰影の濃い笑顔を
山本は少しむず痒い気持ちで、見た。
「なぁ、バジル、」
「はい、」
「ちょっとウチ寄ってかね、」
風呂敷の中身はパウンドケーキで、
オレンジピールとアールグレイの茶葉が入っていた。
山本はそれを丸齧りにしながら歩き、
バジルは三歩後を追って歩く。
「美味いな、コレ。」
「ええ、拙者がイタリアでよく作っているものです。」
「え、これバジルが作ったのか、」
「いえ、レシピは拙者ので、
作ったのは母上殿です。」
なぁんだ、と
山本は少し気落ちした。
程なくして山本宅に到着して、
竹寿司を経由して部屋に入る。
「ちょーっと待っててくれな、」
山本の部屋は雑然としていて、
漫画雑誌やら脱いだ服やらが散乱している。
部屋の入り口に待たされているバジルは苦笑した。
「おしっ、いいぜ、入れよ。」
適当に床にあったものを端に寄せた山本は、
バジルを部屋に招き入れた。
しかし、
部屋にかかっている時計を見たバジルは
「あっ、もうこんな時間なのですね。」
と言って帰ろうとした。
「…何で帰んだ、」
「あの…、沢田殿が、
待っててくださってますから、」
山本はバジルの腕を掴んだ。
「大丈夫だって、電話しとくから。」
「でも沢田殿が…」
ツナ、ツナ、そんなにオレよりツナが大事かよ、
とは言わない。
山本は形状記憶の笑顔でバジルを部屋に引き入れた。
「たまにはいんじゃね、
秋の夜は長いって言うしな、」
「え、秋って夜が長いのですか、」
「いや…知んねーけど
“秋の夜長”って言葉あるぜ、」
そうなんですか、
ステキです、
…バジルは呑気だな、と山本は思った。
多分、
変な意味で
山本はバジルのことが好きだ。
それに気付かないバジルを
こんな時間に部屋に連れ込んだりして、
山本は我ながら自分は非道い人間だなぁと思う。
「何か食う、」
床に散らばるエロ本に気をとられているバジルの顔を
山本は覗き込んだ。
「あっ…、いえ、…拙者は食べてきましたので、」
「あ、そ、」
暫く沈黙になる。
少しバジルの顔が赤い。
それをどう解釈していいのかわからない山本は、
この後自分はバジルをどうしたらいいのか逡巡する。
「…やっぱり、
拙者帰ります、」
困ったような顔をしてそう言うバジルの顔を見る山本の目は
笑っていない。
「ツナが待ってるからか、」
…努力して勝ち得た野球の道であっても。
心から信頼する友であっても。
「はい、あの、山本殿にも悪いですし、」
じゃあ最初っからついてくんなよ、
とは言わない。
「…送ってくぜ、チャリ、あっから。」
夜半近い空は澄んで
星は涙のように輝いた。
山本はバジルが好きだ。
だけど、
バジルは
山本のためのものではなかった。
努力して手に入れた皆の羨望も、
心から笑いあえる友の存在も、
何も
山本のためのものではなかった。
沢田家からの帰り道、
自転車で切る風の冷たさは
山本の哀惜を溢れさせ、
少しだけ、
抱えきれなくなって、
泣いた。
―――――
ごめんねごめんねー。
秋の夜長とあんまり関係なくなっちゃいました…。
しかも
バジリ庵なのに
山本視点…
(こないだのもヒバリさん視点でしたが…)。
そういえば、
バジリ庵バックヤードができたので
皆さん参加してくださると嬉しいです!
まだ案内が届いてないよ~、
という方は
ご一報ください!
それでは、
次はこめさんですね!
お題は…
『食欲の秋』
でお願いします!
食べ物をおいしそうに食べる
こめさんの姿を思い出しつつ…。
ちゃっちゃちゃーっす。
ふみやですよおおおおお。
カリ。さん、心配しないで!!
バトンしっかり受け取りました~!
風流になるかどうかはわかりませんが…
吟じます!
―――――
秋の夜長。
このところ空気が澄んで、
空が遠いように感じる。
朝顔は花をつけなくなってしまった。
無花果が、色づいている。
山本武は
秋の野球大会の練習で
いつも帰りが遅くなってしまう。
父は父で、仕事があるので
特に不都合は無かったが、
ツナや獄寺と一緒になる時間が短くなったのが
少し寂しい。
この大会が終われば
高校受験だから、
山本は悔いを残したくなかった。
野球推薦の自分はともかく、
勉強のために野球を諦めなければならなくなった
チームメイトたちのために。
妬まれているのも、
知っている。
山本は努力を表に出すような人間ではなかったので、
野球を続けられなくなったことが
自分の所為だと思わない人間から、
妬まれる。
山本は気付かない振りをした。
気温の下降が
人の気持ちを憂鬱にさせる。
9月26日。
その日の練習を終わらせた山本は、
腹が減って仕方が無かったので
家に帰る前に
肉まんでも買って帰ろうと思い
学校と家との中間にあるコンビニに向かった。
すると、
コンビニ少し手前で、
見知った顔に気付いた。
「あ、山本殿、よかった間に合って。」
ひらひらと手を振るのは、
バジル。
左手には風呂敷を携えている。
「これ、沢田殿の母上殿からです。
毎日遅くまでご苦労様、と。」
街灯に照らされて陰影の濃い笑顔を
山本は少しむず痒い気持ちで、見た。
「なぁ、バジル、」
「はい、」
「ちょっとウチ寄ってかね、」
風呂敷の中身はパウンドケーキで、
オレンジピールとアールグレイの茶葉が入っていた。
山本はそれを丸齧りにしながら歩き、
バジルは三歩後を追って歩く。
「美味いな、コレ。」
「ええ、拙者がイタリアでよく作っているものです。」
「え、これバジルが作ったのか、」
「いえ、レシピは拙者ので、
作ったのは母上殿です。」
なぁんだ、と
山本は少し気落ちした。
程なくして山本宅に到着して、
竹寿司を経由して部屋に入る。
「ちょーっと待っててくれな、」
山本の部屋は雑然としていて、
漫画雑誌やら脱いだ服やらが散乱している。
部屋の入り口に待たされているバジルは苦笑した。
「おしっ、いいぜ、入れよ。」
適当に床にあったものを端に寄せた山本は、
バジルを部屋に招き入れた。
しかし、
部屋にかかっている時計を見たバジルは
「あっ、もうこんな時間なのですね。」
と言って帰ろうとした。
「…何で帰んだ、」
「あの…、沢田殿が、
待っててくださってますから、」
山本はバジルの腕を掴んだ。
「大丈夫だって、電話しとくから。」
「でも沢田殿が…」
ツナ、ツナ、そんなにオレよりツナが大事かよ、
とは言わない。
山本は形状記憶の笑顔でバジルを部屋に引き入れた。
「たまにはいんじゃね、
秋の夜は長いって言うしな、」
「え、秋って夜が長いのですか、」
「いや…知んねーけど
“秋の夜長”って言葉あるぜ、」
そうなんですか、
ステキです、
…バジルは呑気だな、と山本は思った。
多分、
変な意味で
山本はバジルのことが好きだ。
それに気付かないバジルを
こんな時間に部屋に連れ込んだりして、
山本は我ながら自分は非道い人間だなぁと思う。
「何か食う、」
床に散らばるエロ本に気をとられているバジルの顔を
山本は覗き込んだ。
「あっ…、いえ、…拙者は食べてきましたので、」
「あ、そ、」
暫く沈黙になる。
少しバジルの顔が赤い。
それをどう解釈していいのかわからない山本は、
この後自分はバジルをどうしたらいいのか逡巡する。
「…やっぱり、
拙者帰ります、」
困ったような顔をしてそう言うバジルの顔を見る山本の目は
笑っていない。
「ツナが待ってるからか、」
…努力して勝ち得た野球の道であっても。
心から信頼する友であっても。
「はい、あの、山本殿にも悪いですし、」
じゃあ最初っからついてくんなよ、
とは言わない。
「…送ってくぜ、チャリ、あっから。」
夜半近い空は澄んで
星は涙のように輝いた。
山本はバジルが好きだ。
だけど、
バジルは
山本のためのものではなかった。
努力して手に入れた皆の羨望も、
心から笑いあえる友の存在も、
何も
山本のためのものではなかった。
沢田家からの帰り道、
自転車で切る風の冷たさは
山本の哀惜を溢れさせ、
少しだけ、
抱えきれなくなって、
泣いた。
―――――
ごめんねごめんねー。
秋の夜長とあんまり関係なくなっちゃいました…。
しかも
バジリ庵なのに
山本視点…
(こないだのもヒバリさん視点でしたが…)。
そういえば、
バジリ庵バックヤードができたので
皆さん参加してくださると嬉しいです!
まだ案内が届いてないよ~、
という方は
ご一報ください!
それでは、
次はこめさんですね!
お題は…
『食欲の秋』
でお願いします!
食べ物をおいしそうに食べる
こめさんの姿を思い出しつつ…。
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