バジルサイト管理人によるバジル好きのためのブログ。 バジルに関する短編小説やイラスト、萌え語りなどを載せています。
今日もみんなでバジってこーぜ。
あけましておめでとうございます(^ω^)
ふみやさんから頂きましたお題の『無垢』で…
カップリングは家バジです。
―――――
出来ればこの者に頼みたくはなかった。
自分の目の前で跪くその者は、特殊な者を除けば、自分の部下の中で一番年端の行かない者であった。
自分を見るその無垢なるまっすぐな瞳は無知から来るものだ。
自分が何度汚い採算で自分の部下の命と作戦を図りにかけたか分かっているはずもない。
もちろんすべての事は牽いてはみなの為になると思っている。
だが、それが独りよがりの偽善でない保証などどこにもない。
力の強いものや頭の良いものも居る。が、今回の作戦で一番重要である素早さはこの者が一番である。
それに他の者は戦闘においては銃を主に使う。日本では使えない。
すべての部下の武器を銃に絞らない方が自分にとって都合がいい。
その都合のよさが今回よしと出た。
が、そのためにこの者は生活の大半を自分に与えられた武器を使いこなすための修行に明け暮れなければならなかった。
いや、この者が最初に銃は他人を巻き込むからと辞退したこともあった。
だがそれは自分の命令において、何の意味もない。たまたま合致しただけだ。
部下である彼の意思は関係ない。
すべては上司である自分の都合のためだ。
それが上手く行って、ますます罪悪感にさい悩まされるのだ。
「命に代えてもこの指輪をご子息に届けます」
そう力強く言ってのける彼を、不安からつい怒鳴り返してしまった。
「未熟者が!己の命をなくして、どうして指輪を守る事が出来る。お前の使命はそれを敵に渡さぬ事も入っているのだぞ」
はっとして恐縮する彼を見て心の中でつぶやく。…だから言えないのだ。本当のことは。
本当のことを知ることになる時はいずれ必ず来る。
その時彼はどう思うだろうか…
部屋を出る彼の背中を見つめる。
せめて命を落とさぬようにと、祈るしかできない。
大丈夫だ。彼が息子と会うときにはそこにはディーノやその部下が居る。
ディーノ達ならうまくやってくれるはずだ。
彼が命を落とす事などない。
しかし、彼が命を落とす事があろうとも、私は彼をこうやって送り出すことであろう。
その事が分かっていても、彼はあの目で私に微笑んでくれるであろうか?
またつまらぬ罪悪感で私を苦しませてくれるであろうか?
部屋を出る彼がふと足を止め、振り返る。
「親方様。大丈夫です。すべて自分で選んだ事です」
すべてを見透かすようにそう微笑んで、彼は足音を残し、部屋を出て行った。
後には小さな後悔とつまらぬ罪悪感とだけが残るのであった
―――――
ええと、同人誌用と思ってたネタですが、どうやってもかけそうもないのでここでw
家光がバジルを囮って教えなかったのは、囮って言われたら喜んで囮やって、敵ひきつけたら満足して死にそうだったので、わざと教えなかったんだと信じてます。
ツナとであったのはたまたまで、本とは学校に行く予定だったのに遊びに行っちゃたから、ディーノも合流が遅れたんだと思ってます。
次のお題は『バレンタイン』で…
は、早いでしょうか?(;・∀・)
ふみやさんから頂きましたお題の『無垢』で…
カップリングは家バジです。
―――――
出来ればこの者に頼みたくはなかった。
自分の目の前で跪くその者は、特殊な者を除けば、自分の部下の中で一番年端の行かない者であった。
自分を見るその無垢なるまっすぐな瞳は無知から来るものだ。
自分が何度汚い採算で自分の部下の命と作戦を図りにかけたか分かっているはずもない。
もちろんすべての事は牽いてはみなの為になると思っている。
だが、それが独りよがりの偽善でない保証などどこにもない。
力の強いものや頭の良いものも居る。が、今回の作戦で一番重要である素早さはこの者が一番である。
それに他の者は戦闘においては銃を主に使う。日本では使えない。
すべての部下の武器を銃に絞らない方が自分にとって都合がいい。
その都合のよさが今回よしと出た。
が、そのためにこの者は生活の大半を自分に与えられた武器を使いこなすための修行に明け暮れなければならなかった。
いや、この者が最初に銃は他人を巻き込むからと辞退したこともあった。
だがそれは自分の命令において、何の意味もない。たまたま合致しただけだ。
部下である彼の意思は関係ない。
すべては上司である自分の都合のためだ。
それが上手く行って、ますます罪悪感にさい悩まされるのだ。
「命に代えてもこの指輪をご子息に届けます」
そう力強く言ってのける彼を、不安からつい怒鳴り返してしまった。
「未熟者が!己の命をなくして、どうして指輪を守る事が出来る。お前の使命はそれを敵に渡さぬ事も入っているのだぞ」
はっとして恐縮する彼を見て心の中でつぶやく。…だから言えないのだ。本当のことは。
本当のことを知ることになる時はいずれ必ず来る。
その時彼はどう思うだろうか…
部屋を出る彼の背中を見つめる。
せめて命を落とさぬようにと、祈るしかできない。
大丈夫だ。彼が息子と会うときにはそこにはディーノやその部下が居る。
ディーノ達ならうまくやってくれるはずだ。
彼が命を落とす事などない。
しかし、彼が命を落とす事があろうとも、私は彼をこうやって送り出すことであろう。
その事が分かっていても、彼はあの目で私に微笑んでくれるであろうか?
またつまらぬ罪悪感で私を苦しませてくれるであろうか?
部屋を出る彼がふと足を止め、振り返る。
「親方様。大丈夫です。すべて自分で選んだ事です」
すべてを見透かすようにそう微笑んで、彼は足音を残し、部屋を出て行った。
後には小さな後悔とつまらぬ罪悪感とだけが残るのであった
―――――
ええと、同人誌用と思ってたネタですが、どうやってもかけそうもないのでここでw
家光がバジルを囮って教えなかったのは、囮って言われたら喜んで囮やって、敵ひきつけたら満足して死にそうだったので、わざと教えなかったんだと信じてます。
ツナとであったのはたまたまで、本とは学校に行く予定だったのに遊びに行っちゃたから、ディーノも合流が遅れたんだと思ってます。
次のお題は『バレンタイン』で…
は、早いでしょうか?(;・∀・)
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最近ほんとに寒い日が続きますね。
来週あたり、本誌でバジル出てくるんじゃないかと勝手にワクドキしてます。
場面変わって、ヴァリアーのターンになったし(*´Д`)ワクドキ
=============
寒い日
「親方様、親方様、起きてください。終点のようです」
あ、ああ…等と言いながら寝ぼけた眼を擦ったが、終点の一言で一気に目が覚めた。
終点?確かこれが最終だったはず…
目の前に広がる、見覚えのない夜の大自然を前に、ホームに降りた家光は絶句した。
郊外の夜風が薄着の家光の肌に容赦なく冷たい…
家光とバジルは日本に来ていた。
来るべき日本での単独活動のために、バジルに日本を教える為に来たのだ。
…が、たまにしか日本に帰らない家光にとっても、変化の早い日本での行動は難しかった。
目印どころか景色が全く違うなどは朝飯前で、増えた路線の駅名に混乱しながらも、それでも教えてやると大見得切った部下の手前、人に聞くのも恥ずかしい。
分かってる振りして最初に乗った電車から既に違い、後は泥沼式に違う路線に迷い込んで、やっと目的地の電車に乗ったと思ったらこのざまだ。
「あーあ…」
やっちまったと、トボトボと改札口に向かう家光の後を、バジルがすまなそうにチョコチョコと付いてくる。
「すみません。起きていたのですが、駅名が聞き取りづらくて…駅名もちょっと分からなくて…」
分かってないのを悟らせないように、目的地の路線も駅名も教えてなくて分からないのも当然なのに、しきりに恐縮するバジルに謝られるほど、逆に家光の恐縮感が増す。
自分だけじゃなく、日本が初めてのバジルにさえ、こんな目にあわせるとは…
お前のせいじゃないよと声をかけるが、バジルの暖かそうな服装に、ちょっとため息が出る。
家光の服は、日本でのいつものタンクトップにつなぎの作業着だ。
「日本はイタリアより寒いらしいですから」と、せっせと厚着を荷物に詰め込むバジルに、家光は「お前は日本を知らないからな。今の時分ならここと変わらん」と笑い飛ばした手前、上着を買うのも恥ずかしい。
結果、家光は季節外れにやってきた記録的な寒波の中、ひたすら薄着で耐える羽目になった。
何もかも裏目だ…。
きっちりした服装の外国の少年と作業着のおっさん…
珍道中もいいとこだ。
バジルがもっと幼けりゃ、誘拐犯と間違えられてもおかしくない。
いや、今のままでも十分アンバランスで不思議な二人連れだろう。
自販機もなく、改札で乗り越し料金を支払う間の駅員の好奇の目が痛い。
支払い中の、こんな遠くの駅まで乗り過ごしたのかと哀れみの目も痛い…。
「拙者、乗り越し料金の払い方を初めて知りました。これで次に一人で乗り越しても大丈夫ですね!」
バジルの心遣いのとどめのフォローに、さらに家光はがっくりと肩を下ろした…そんなフォロー要りませんから…
やってしまった失敗はさておき、こんな寒い日に、野宿でもしたら風邪を引く。
バジルのきっちりした服装でさえ、風邪を引いちまうかもしれない。
こんな時間にホテルは入れるだろうか?等と考えていたが、さすが終点の駅。
駅前にはまだ営業中の看板の掛かった、みすぼらしい民宿のトタンの看板が、寒風に吹かれてバコバコ音を立てていた。
どう見ても貧相な宿場だが、他に目ぼしいホテルもなく、仕方がない。
通された隙間風の入る寒い4畳半の畳の部屋と、押入れから出てくるセンベイ布団に家光は憔悴の色をさらに濃くした。
が、バジルは畳や床に敷く布団に大喜びだ。
なんて事ない折りたたみ式のちゃぶ台にすら、ひたすら感嘆の声を上げる。
よかった…連れてきたのがバジルで。
これがターメリックだったら、ひたすら気を使われ、オレガノあたりだったら嫌味の一つも言われてしまうだろう。
ちょっと機嫌を良くした家光は、自分の体が極限まで冷えているのに気づいた。
暖房は入れたが、エアコンのふき出し口からは、かび臭い空気が部屋を一周したきりで、どうも効いてるのかいまいち分からない。
この調子では、部屋が暖まるとしてもまだまだ先だろう。
寒くてとても待ちきれない。だがそれは相方も同じであろう。
「一緒に風呂に入るか?」
声を掛けると、熱心にちゃぶ台の脚の構造を確かめながら、たたんだり伸ばしたりしていたバジルの動きが止まった。
「あ、あの…、服は脱ぐのですか?」
「当たり前だろ、イタリアだって風呂は服を脱ぐだろう?」
年頃なので嫌なのかと思いきや、そそくさとタオルを用意して付いてきた。
いよいよか…
期待していたとはいえ、こんな早くに機会があるとは。
バジルは興奮で足取りもおぼつかない。
オレガノに聞いた、日本のお風呂は、同性同士は裸で混浴するらしいと言うのは、どうやら本当らしい。
親方様の生まれたままの姿を近くで拝見できるとは…
いつものスーツ姿と違う、作業着の胸元から覗く大胸筋だけでどきどきしたのに…
そう、今回二時間近く電車に乗っていたのに、家光を起こすことなく終点まで来てしまったのは、バジルが寝ている家光に見ほれていたからだ。
気が付いたら、終点だった。だから本当に家光だけのせいではないのだが、理由なんてとてもいえない。
自分の貧相な体と比べ、親方様の筋肉質な体は憧れの体なのだ。
だが寒い脱衣所で服を脱いでる途中に、ふと気が付いた。
よく考えたら、親方様の体も見れるが、自分も裸になるのだ。
狭い廊下を突き当たった大浴場は、名ばかりのただの風呂場で、家庭用の風呂を一回り大きくしたような大きさしかない。
それでも他に客も居なかったので、がたいの大きい家光にはありがたかったが…
家光より厚着だったバジルは、やや遅れておずおずと風呂場に入ってきた。かなり顔が赤い。
寒い脱衣所から暖かい風呂場に入ってきたせいか。
入り方を説明すると、黙ったままどたどしく熱心に風呂の温度調節の不便な蛇口などをいじるバジルに、家光はちょっと笑いがこぼれた。
電車を乗り過ごしたのも悪くない。
いつも通りのビジネスホテルのユニットバスと違い、こうやってバジルに日本の風呂を教える事が出来たのだから…
バジルはそそくさと体を洗い終わると、すぐに湯船に浸かってうつむいていた。
一回も家光の方を向けない。ので、蛇口なんかを弄くりまわしていた。
いざ、親方様と裸で狭い空間に居ると、恥ずかしくて、とても裸を見るどころではない。
もし親方様の方をみて、親方様も自分を見ていたら…いや、せいぜい顔か自分の好奇心溢れる行動を見ているだけだろうけど、それでも直視できないくらい恥ずかしい。
家光は、すっかり体も温まって、いい気分になったらしく、バジルの気も知らず、鼻歌なんて歌っている。
よく分からないが、日本の歌だろうか?
このまま結局、直視もできずに上がる事になるだろう。
そう思ったバジルの上を、一瞬影が横切ると、自分の後ろから湯がゆれた。
驚いて、上がろうとすると、「ああ、いい、いい、そのままで。上がると寒いぞ」と、家光が静止した。
でもどう考えても、この湯船では家光とバジルは二人は入れない。
「狭いですから…」と、湯船を出ようとするバジルを、家光はひょいと持ち上げると、自分の股の間にバジルを座らせ笑った。
「日本の風呂は、親子はこうやって入るんだぞ」
…お、親子って…。
尊敬する親方様に抱かれながらそう言われて、顔が熱くなる。ふつふつと嬉しい感情も溢れた。
親方様はご子息でも思い出されているのだろうか?またリラックスした感じで、日本の歌を歌い始めた。
まだ見たことのないご子息に申し訳なさを感じつつ、今この瞬間、代わりでも親方様の近くに居れることに感謝した。
…よかった。今日が寒い日で…
こうして一緒にお風呂に入る事ができたのだから。
そして、念願の親方様の脚をじっくり見ることもできたのだった。
…のぼせたバジルがふらふらとお風呂から上がって、もしかして寝る時も寒さを理由に密着して寝られるかもしれない…と、ちょっと期待したが、部屋に帰ると、意外にいい仕事をしたエアコンのおかげで、部屋は常夏のようで、バジルはちょっとガッカリするのであった…
=============
やや変態のバジル、すんません。(;・∀・)
次は、ちょっと早いですが、「クリスマス」なんてどうでしょうか?
は、早すぎるかな?
来週あたり、本誌でバジル出てくるんじゃないかと勝手にワクドキしてます。
場面変わって、ヴァリアーのターンになったし(*´Д`)ワクドキ
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寒い日
「親方様、親方様、起きてください。終点のようです」
あ、ああ…等と言いながら寝ぼけた眼を擦ったが、終点の一言で一気に目が覚めた。
終点?確かこれが最終だったはず…
目の前に広がる、見覚えのない夜の大自然を前に、ホームに降りた家光は絶句した。
郊外の夜風が薄着の家光の肌に容赦なく冷たい…
家光とバジルは日本に来ていた。
来るべき日本での単独活動のために、バジルに日本を教える為に来たのだ。
…が、たまにしか日本に帰らない家光にとっても、変化の早い日本での行動は難しかった。
目印どころか景色が全く違うなどは朝飯前で、増えた路線の駅名に混乱しながらも、それでも教えてやると大見得切った部下の手前、人に聞くのも恥ずかしい。
分かってる振りして最初に乗った電車から既に違い、後は泥沼式に違う路線に迷い込んで、やっと目的地の電車に乗ったと思ったらこのざまだ。
「あーあ…」
やっちまったと、トボトボと改札口に向かう家光の後を、バジルがすまなそうにチョコチョコと付いてくる。
「すみません。起きていたのですが、駅名が聞き取りづらくて…駅名もちょっと分からなくて…」
分かってないのを悟らせないように、目的地の路線も駅名も教えてなくて分からないのも当然なのに、しきりに恐縮するバジルに謝られるほど、逆に家光の恐縮感が増す。
自分だけじゃなく、日本が初めてのバジルにさえ、こんな目にあわせるとは…
お前のせいじゃないよと声をかけるが、バジルの暖かそうな服装に、ちょっとため息が出る。
家光の服は、日本でのいつものタンクトップにつなぎの作業着だ。
「日本はイタリアより寒いらしいですから」と、せっせと厚着を荷物に詰め込むバジルに、家光は「お前は日本を知らないからな。今の時分ならここと変わらん」と笑い飛ばした手前、上着を買うのも恥ずかしい。
結果、家光は季節外れにやってきた記録的な寒波の中、ひたすら薄着で耐える羽目になった。
何もかも裏目だ…。
きっちりした服装の外国の少年と作業着のおっさん…
珍道中もいいとこだ。
バジルがもっと幼けりゃ、誘拐犯と間違えられてもおかしくない。
いや、今のままでも十分アンバランスで不思議な二人連れだろう。
自販機もなく、改札で乗り越し料金を支払う間の駅員の好奇の目が痛い。
支払い中の、こんな遠くの駅まで乗り過ごしたのかと哀れみの目も痛い…。
「拙者、乗り越し料金の払い方を初めて知りました。これで次に一人で乗り越しても大丈夫ですね!」
バジルの心遣いのとどめのフォローに、さらに家光はがっくりと肩を下ろした…そんなフォロー要りませんから…
やってしまった失敗はさておき、こんな寒い日に、野宿でもしたら風邪を引く。
バジルのきっちりした服装でさえ、風邪を引いちまうかもしれない。
こんな時間にホテルは入れるだろうか?等と考えていたが、さすが終点の駅。
駅前にはまだ営業中の看板の掛かった、みすぼらしい民宿のトタンの看板が、寒風に吹かれてバコバコ音を立てていた。
どう見ても貧相な宿場だが、他に目ぼしいホテルもなく、仕方がない。
通された隙間風の入る寒い4畳半の畳の部屋と、押入れから出てくるセンベイ布団に家光は憔悴の色をさらに濃くした。
が、バジルは畳や床に敷く布団に大喜びだ。
なんて事ない折りたたみ式のちゃぶ台にすら、ひたすら感嘆の声を上げる。
よかった…連れてきたのがバジルで。
これがターメリックだったら、ひたすら気を使われ、オレガノあたりだったら嫌味の一つも言われてしまうだろう。
ちょっと機嫌を良くした家光は、自分の体が極限まで冷えているのに気づいた。
暖房は入れたが、エアコンのふき出し口からは、かび臭い空気が部屋を一周したきりで、どうも効いてるのかいまいち分からない。
この調子では、部屋が暖まるとしてもまだまだ先だろう。
寒くてとても待ちきれない。だがそれは相方も同じであろう。
「一緒に風呂に入るか?」
声を掛けると、熱心にちゃぶ台の脚の構造を確かめながら、たたんだり伸ばしたりしていたバジルの動きが止まった。
「あ、あの…、服は脱ぐのですか?」
「当たり前だろ、イタリアだって風呂は服を脱ぐだろう?」
年頃なので嫌なのかと思いきや、そそくさとタオルを用意して付いてきた。
いよいよか…
期待していたとはいえ、こんな早くに機会があるとは。
バジルは興奮で足取りもおぼつかない。
オレガノに聞いた、日本のお風呂は、同性同士は裸で混浴するらしいと言うのは、どうやら本当らしい。
親方様の生まれたままの姿を近くで拝見できるとは…
いつものスーツ姿と違う、作業着の胸元から覗く大胸筋だけでどきどきしたのに…
そう、今回二時間近く電車に乗っていたのに、家光を起こすことなく終点まで来てしまったのは、バジルが寝ている家光に見ほれていたからだ。
気が付いたら、終点だった。だから本当に家光だけのせいではないのだが、理由なんてとてもいえない。
自分の貧相な体と比べ、親方様の筋肉質な体は憧れの体なのだ。
だが寒い脱衣所で服を脱いでる途中に、ふと気が付いた。
よく考えたら、親方様の体も見れるが、自分も裸になるのだ。
狭い廊下を突き当たった大浴場は、名ばかりのただの風呂場で、家庭用の風呂を一回り大きくしたような大きさしかない。
それでも他に客も居なかったので、がたいの大きい家光にはありがたかったが…
家光より厚着だったバジルは、やや遅れておずおずと風呂場に入ってきた。かなり顔が赤い。
寒い脱衣所から暖かい風呂場に入ってきたせいか。
入り方を説明すると、黙ったままどたどしく熱心に風呂の温度調節の不便な蛇口などをいじるバジルに、家光はちょっと笑いがこぼれた。
電車を乗り過ごしたのも悪くない。
いつも通りのビジネスホテルのユニットバスと違い、こうやってバジルに日本の風呂を教える事が出来たのだから…
バジルはそそくさと体を洗い終わると、すぐに湯船に浸かってうつむいていた。
一回も家光の方を向けない。ので、蛇口なんかを弄くりまわしていた。
いざ、親方様と裸で狭い空間に居ると、恥ずかしくて、とても裸を見るどころではない。
もし親方様の方をみて、親方様も自分を見ていたら…いや、せいぜい顔か自分の好奇心溢れる行動を見ているだけだろうけど、それでも直視できないくらい恥ずかしい。
家光は、すっかり体も温まって、いい気分になったらしく、バジルの気も知らず、鼻歌なんて歌っている。
よく分からないが、日本の歌だろうか?
このまま結局、直視もできずに上がる事になるだろう。
そう思ったバジルの上を、一瞬影が横切ると、自分の後ろから湯がゆれた。
驚いて、上がろうとすると、「ああ、いい、いい、そのままで。上がると寒いぞ」と、家光が静止した。
でもどう考えても、この湯船では家光とバジルは二人は入れない。
「狭いですから…」と、湯船を出ようとするバジルを、家光はひょいと持ち上げると、自分の股の間にバジルを座らせ笑った。
「日本の風呂は、親子はこうやって入るんだぞ」
…お、親子って…。
尊敬する親方様に抱かれながらそう言われて、顔が熱くなる。ふつふつと嬉しい感情も溢れた。
親方様はご子息でも思い出されているのだろうか?またリラックスした感じで、日本の歌を歌い始めた。
まだ見たことのないご子息に申し訳なさを感じつつ、今この瞬間、代わりでも親方様の近くに居れることに感謝した。
…よかった。今日が寒い日で…
こうして一緒にお風呂に入る事ができたのだから。
そして、念願の親方様の脚をじっくり見ることもできたのだった。
…のぼせたバジルがふらふらとお風呂から上がって、もしかして寝る時も寒さを理由に密着して寝られるかもしれない…と、ちょっと期待したが、部屋に帰ると、意外にいい仕事をしたエアコンのおかげで、部屋は常夏のようで、バジルはちょっとガッカリするのであった…
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やや変態のバジル、すんません。(;・∀・)
次は、ちょっと早いですが、「クリスマス」なんてどうでしょうか?
は、早すぎるかな?
遅くなり申し訳ありません。
米犬さんから頂きましたお題の「季節の変わり目」のSSで、
ツナバジです。
ちょっと色々突っ込みどころがあるかと思いますが、後ほど(;´∀`)
==================
「くしゅんっ」
と、ツナがくしゃみをしたら、流しでごそごそしていたバジルが寄ってきた。
「大丈夫ですか?沢田殿。季節の変わり目で風邪をひきやすいですから、気をつけてください」
割烹着の前の部分で濡れた手を拭いて、大げさにツナの頭に手を置こうとするバジルの手をやんわり、大丈夫だよと断った。
9月はとっくに終わり、10月も半ば。もうさすがに半そでではいられず、長袖の服も段々と厚手のものに変わり始める時期だ。
しかしこの時分になると、ツナの関心は気温の事ではなくなる。
そんなツナの焦りにも似た期待をよそに、バジルは一旦台所を出ると、大き目の紙袋を手に戻ってきた。
「はい、沢田殿。拙者からのプレゼントです。本当は食事の時に渡そうと思っていたのですが…」
綺麗なラッピングのリボンの付いた、いかにも特別風の紙袋を渡されて、ツナは嬉しい気持ちと同時にちょっとガッカリしてしまった。
仕方ないとは分かっていても…
でもせっかくプレゼントを渡されて、そんな感情を態度に出すわけにも行かず、ツナは大げさに喜んでみせて、ラッピングをといた。
中からは、綿がこんもり詰まったちゃんちゃんこが出てきた。
「親方様から聞きました。日本の冬の、伝統のホームウエアだって。拙者の時には夏でしたから甚平でしたから」
日本の伝統に弱い彼が、夏の誕生日プレゼントに甚平を渡されて、いたく喜んで、一日中、寝るときも出かける時も着ていたのを微笑ましく思いだした。
だから俺にはちゃんちゃんこなんだ。同時に、期待もまた持ち上がった。
いや、分からないぞ。さっき俺がくしゃみをしたから、繰上げでこの防寒服を今日渡しただけかもしれない。
「これも…拙者から沢田殿にです…」
そう思ったツナの前に、バジルがおずおずとこぶりながらも生クリームがたっぷり掛かった手作りのホールケーキを出してきて、自分の危惧が確定になって、ツナはがっかりした。
真ん中に立っている一本のロウソクはさすがにツナの年齢にはかなり足りない。
先ほどからごそごそと作っていたのはこれだったんだ。
…さすがにケーキは前日に作らないよな…明日になったら生クリームも乾燥してくるし。
「あ、ありがとう。ついででも嬉しいよ…」
さすがに落胆の色を隠せず、声色と肩を落としたツナが、ケーキを受け取った。
今日は10月13日…
つまりリボーンの誕生日だ。
朝から家族たちはそのための準備に忙しい。
家族に誕生日が近いものが居る者の宿命で、片方の誕生日と一緒に済まされてしまう。
それは大概、誕生日が遅い者が早い者に一緒にされる。
今更誕生日を、主役として持ち上げられて、わざわざ家族に祝って欲しい年齢でもない。
はっきり言ってご馳走が食べられればそれだけでいい。
でも、バジルは…最近親密度の上がってきた彼だけはもしかして、リボーンと誕生日を一緒にせずに、個別で俺を祝ってくれるんじゃないかと淡い期待を抱いていたので、さすがに落胆した。
仕方ないか…
バジルに誕生日を祝ってもらえるのは素直に嬉しいし。
「ありがとう、バジル君。誕生日、祝ってくれるの嬉しいよ。たとえリボーンのついででも…」
バジルはきょとんとしてツナを見ている。
「誕生日?リボーンさんのついで?リボーンさんのケーキは別に用意してありますし、沢田殿の誕生日のケーキは、明日また気合を入れて作ります」
あ、しまった。と言う風に、口を押さえるが、どうせばれるし、まぁ言いかと言う風にぺロッと舌を出して照れてみせた。
嘘とは思えないバジルの言葉に、今度はツナがきょとんとしてしまった。
「え?誕生日の…ケーキじゃないの?確かに、一本しかロウソク乗ってないけど。リボーンは三歳だっけ?」
じゃあなんでケーキなのか…?って顔のツナに、バジルはテレながら微笑んだ。
「記念日と言えば、ケーキかと思って」
「記念日って…何の記念日だっけ?」
「今日は初めて拙者と沢田殿が出会った日です」
それを聞いて、ツナは一瞬頭が真っ白になって、それから真っ赤になった。
「ご、ごめん。俺、何にも用意してなくて…」
自分の誕生日の事しか頭になかった自分が恥ずかしくなった。
そうだった、今日は初めてバジルと出会った日だった。
あんな劇的で忘れがたい出会いをしたのに、すっかり忘れていた自分が恥ずかしい。
「いいんです。拙者が勝手にやった事ですから。出会ってから一年、だからロウソクも一本。これから毎年この日に一本ずつロウソクを増やしたケーキで祝えたらいいですね」
無邪気に笑うバジルに、ツナはじゃあ明日は今日のとは別の誕生日プレゼントがもらえるかな?前回はボンゴレリングだったけど、今回はエンゲージリングだったりしてな。まだそんなわけないか。と一人ニヤニヤと照れてしまった。
そしてその後食べた、バジルの手作りの、和風・タラコケーキに、ツナは明日のプレゼントよりも明日のケーキの中身を心配する羽目になるのだった。
===============
すみません、あまり季節の変わり目関係ないというか、日が近かったので、無理やり誕生日にも絡めてしまいました。汗
後、ボンゴレ77とコミックスを交互に見て、勝手に10/13に出会ったと解釈しましたが、もしかしたら出会ったのは10/14かもしれない…(;´∀`)
最初は絶対13日だと思ってこのネタ作ったんすが、後で読み返したら、14日の方が濃いかも…でも前日に奈々がご馳走作ってて、リボーンの誕生日もあるのに「何で?」っておかしい気がして、奈々がご馳走作ったのは12と13続けてと言う事で一つお願いします。orzすんません、凄い無理やりな気がしてきた(;´∀`)
ええと、次のお題はサイトの背景にあわせまして「ハロウィン」でいかがでしょうか?(^ω^)
米犬さんから頂きましたお題の「季節の変わり目」のSSで、
ツナバジです。
ちょっと色々突っ込みどころがあるかと思いますが、後ほど(;´∀`)
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「くしゅんっ」
と、ツナがくしゃみをしたら、流しでごそごそしていたバジルが寄ってきた。
「大丈夫ですか?沢田殿。季節の変わり目で風邪をひきやすいですから、気をつけてください」
割烹着の前の部分で濡れた手を拭いて、大げさにツナの頭に手を置こうとするバジルの手をやんわり、大丈夫だよと断った。
9月はとっくに終わり、10月も半ば。もうさすがに半そでではいられず、長袖の服も段々と厚手のものに変わり始める時期だ。
しかしこの時分になると、ツナの関心は気温の事ではなくなる。
そんなツナの焦りにも似た期待をよそに、バジルは一旦台所を出ると、大き目の紙袋を手に戻ってきた。
「はい、沢田殿。拙者からのプレゼントです。本当は食事の時に渡そうと思っていたのですが…」
綺麗なラッピングのリボンの付いた、いかにも特別風の紙袋を渡されて、ツナは嬉しい気持ちと同時にちょっとガッカリしてしまった。
仕方ないとは分かっていても…
でもせっかくプレゼントを渡されて、そんな感情を態度に出すわけにも行かず、ツナは大げさに喜んでみせて、ラッピングをといた。
中からは、綿がこんもり詰まったちゃんちゃんこが出てきた。
「親方様から聞きました。日本の冬の、伝統のホームウエアだって。拙者の時には夏でしたから甚平でしたから」
日本の伝統に弱い彼が、夏の誕生日プレゼントに甚平を渡されて、いたく喜んで、一日中、寝るときも出かける時も着ていたのを微笑ましく思いだした。
だから俺にはちゃんちゃんこなんだ。同時に、期待もまた持ち上がった。
いや、分からないぞ。さっき俺がくしゃみをしたから、繰上げでこの防寒服を今日渡しただけかもしれない。
「これも…拙者から沢田殿にです…」
そう思ったツナの前に、バジルがおずおずとこぶりながらも生クリームがたっぷり掛かった手作りのホールケーキを出してきて、自分の危惧が確定になって、ツナはがっかりした。
真ん中に立っている一本のロウソクはさすがにツナの年齢にはかなり足りない。
先ほどからごそごそと作っていたのはこれだったんだ。
…さすがにケーキは前日に作らないよな…明日になったら生クリームも乾燥してくるし。
「あ、ありがとう。ついででも嬉しいよ…」
さすがに落胆の色を隠せず、声色と肩を落としたツナが、ケーキを受け取った。
今日は10月13日…
つまりリボーンの誕生日だ。
朝から家族たちはそのための準備に忙しい。
家族に誕生日が近いものが居る者の宿命で、片方の誕生日と一緒に済まされてしまう。
それは大概、誕生日が遅い者が早い者に一緒にされる。
今更誕生日を、主役として持ち上げられて、わざわざ家族に祝って欲しい年齢でもない。
はっきり言ってご馳走が食べられればそれだけでいい。
でも、バジルは…最近親密度の上がってきた彼だけはもしかして、リボーンと誕生日を一緒にせずに、個別で俺を祝ってくれるんじゃないかと淡い期待を抱いていたので、さすがに落胆した。
仕方ないか…
バジルに誕生日を祝ってもらえるのは素直に嬉しいし。
「ありがとう、バジル君。誕生日、祝ってくれるの嬉しいよ。たとえリボーンのついででも…」
バジルはきょとんとしてツナを見ている。
「誕生日?リボーンさんのついで?リボーンさんのケーキは別に用意してありますし、沢田殿の誕生日のケーキは、明日また気合を入れて作ります」
あ、しまった。と言う風に、口を押さえるが、どうせばれるし、まぁ言いかと言う風にぺロッと舌を出して照れてみせた。
嘘とは思えないバジルの言葉に、今度はツナがきょとんとしてしまった。
「え?誕生日の…ケーキじゃないの?確かに、一本しかロウソク乗ってないけど。リボーンは三歳だっけ?」
じゃあなんでケーキなのか…?って顔のツナに、バジルはテレながら微笑んだ。
「記念日と言えば、ケーキかと思って」
「記念日って…何の記念日だっけ?」
「今日は初めて拙者と沢田殿が出会った日です」
それを聞いて、ツナは一瞬頭が真っ白になって、それから真っ赤になった。
「ご、ごめん。俺、何にも用意してなくて…」
自分の誕生日の事しか頭になかった自分が恥ずかしくなった。
そうだった、今日は初めてバジルと出会った日だった。
あんな劇的で忘れがたい出会いをしたのに、すっかり忘れていた自分が恥ずかしい。
「いいんです。拙者が勝手にやった事ですから。出会ってから一年、だからロウソクも一本。これから毎年この日に一本ずつロウソクを増やしたケーキで祝えたらいいですね」
無邪気に笑うバジルに、ツナはじゃあ明日は今日のとは別の誕生日プレゼントがもらえるかな?前回はボンゴレリングだったけど、今回はエンゲージリングだったりしてな。まだそんなわけないか。と一人ニヤニヤと照れてしまった。
そしてその後食べた、バジルの手作りの、和風・タラコケーキに、ツナは明日のプレゼントよりも明日のケーキの中身を心配する羽目になるのだった。
===============
すみません、あまり季節の変わり目関係ないというか、日が近かったので、無理やり誕生日にも絡めてしまいました。汗
後、ボンゴレ77とコミックスを交互に見て、勝手に10/13に出会ったと解釈しましたが、もしかしたら出会ったのは10/14かもしれない…(;´∀`)
最初は絶対13日だと思ってこのネタ作ったんすが、後で読み返したら、14日の方が濃いかも…でも前日に奈々がご馳走作ってて、リボーンの誕生日もあるのに「何で?」っておかしい気がして、奈々がご馳走作ったのは12と13続けてと言う事で一つお願いします。orzすんません、凄い無理やりな気がしてきた(;´∀`)
ええと、次のお題はサイトの背景にあわせまして「ハロウィン」でいかがでしょうか?(^ω^)
すみません。諸事情で遅くなりました。汗
遅くなる旨を書きに来ようと思っていたのですが、それもすっかり忘れていました。orz
申し訳ありません(大汗
==============
秘密 ツナバジ
カチャッと奥の部屋のドアを開けて、バジルがふらふらと上気した顔で出てきた。
すこし上に上がった口角が嬉しさを隠しきれていない様子だ。
「どうしたの?バジル君」
ツナが声を掛けると、「うわぁ!さっ、沢田殿!なっ、何でもないです」と明らかに動揺して台所の方へ去っていった。
あの人って、つくづく隠し事できない性格だよなぁ…
気になって、バジルの出て来た、普段は開かずの部屋のドアを開けた。
開かずの部屋って言うか、荷物置き場になって使ってないだけだけど。
「おう、なんだ?ツナか」
思ってもいない人物が中に居て、一瞬ぎょっとした。
そこに鎮座していたのは、やはり普段家に居ないツナの父親だった。
…そうだった、普段家に居ないから忘れていた。
ここは普段物置でもあるが、父の部屋でもあったんだ。
ごちゃごちゃとダンボールや本が散らばる、物置まんまの狭い床に、散らばる物に端をめくらせながら無理やり引いた敷き布団の上に、家光と乱れた掛け布団が乗っていた。
バジルとここで二人で何をしていたのか、ちょっと予想が付かず、ツナが混乱した。
「…父さん。バジル君と何やってたの?こんな所で」カチャカチャと部屋の鍵を無意識にいじりながらツナが聞く。
「気になるか?」
にやっと口角をゆがませる父に、一瞬ツナはむっとした。なんだよ、この、バジルと父さんのヒミツを聞くような心地悪さ。
「…別に。ただ、俺と違って、バジル君とは妙に親密だね」
「バジルは俺の部下だからな。教えて欲しいと言われれば、大抵のことは教える」
こんな部屋で、何教えてたんだよ…
段々いらいらしてツナの顔が赤くなるのを見て、家光がにやっと言った。
「なんだ、おまえ。バジルに妬いてるのか?」
その言葉に、さらにツナが怒りで赤くなった。
逆に決まってるだろ!!と思った瞬間、自分でも分かるほど顔が赤くなった。…ていうか、俺、父さんに妬いてるのか?
この狭い部屋で、バジルにあんな顔をさせるような事を、父がやっていたのかと思うと、何をしていたのか知りたくて、父を押し倒して締め上げたくなる。返り討ちに合うだけだろうけど。
だが、「何してたか、教えて欲しいか?」と余裕の笑顔で、ツナの求めていた言葉を言ってみせる、父のにやにや顔がいらついて、つい「いらないよ!」と吐き捨てると、ツナはバジルの後を追った。
父に聞かなくても、バジルに直接聞けばいいだけの話だ。
この時間は、母と台所に居るバジルはすぐに捕まえられた。
「母上殿のお手伝いが…」と渋るバジルを無理やり部屋に連れてくると、壁に押し付けて詰問した。
「バジル君、父さんとあの部屋で何やってたの?」
既に赤い顔のツナが尋常ならざる感じで攻め寄って来て、バジルもこれはまずいと思ったのか、赤い顔で押し黙っていたが、ポツリポツリと言いだした。
「も、申し訳ありません、沢田殿。その…」
ごにょごにょと言いにくそうだが、謝罪の言葉で確信した。ツナに謝るような事をやっていたらしいバジルに、ツナがますます腹を立てた。
「何をやっていたか言わなかったら、もう友達辞める!」
それは困ると、青い顔でバジルはしどろもどろに説明しだした。
「す、すみません。沢田殿に黙って…。親方様に見たいかと言われてつい…」
「見たいって、何を?」
「いくらお父上とはいえ、こっ、こういう事は本人に先に断っておくべきでした。申し訳ありません」
「だから何を見たんだよ!」
ちょっといらいらしてツナが詰め寄る。
「拙者、一枚しか持ってなかったので…、他のも見たくて…。拙者、沢田殿のことをほとんど知りませんし…つい…」
は?俺のことをほとんど知らないって?
どうやら自分の疑惑とは全く違う方向の話らしく、ツナも冷静を取り戻しながら聞いた。
「何?一枚って。俺の事に関すること?」
「あの…アルバムを…。沢田殿の小さい頃の写真とかを勝手に見せていただいて…」
「・・・・・・・・・・」
そこまで聞くと、あの父のいやらしいニヤニヤ顔も納得いった。そうか、そういう意味だったのか。
バジルが自分の昔の写真を見て、あの嬉しそうな笑顔だったのかと思うと、今度は綱吉も別の意味で赤くなって俯いた。
「あの…焼き増ししてもらう約束もしてあるのですが…いいでしょうか?」
口に手を当てて、申し訳なさげに上目遣いのバジルに、ツナは段々と嬉しい感情がわいて来た。
自分の写真をそこまで欲しがるバジルにちょっと照れてきた。
「いいけど…今度バジル君のも撮らせてよ。俺もバジル君の写真、持ってないからさ」
突然真っ赤になって、俯き、「い、いいですけど…だっ、誰にも見せないでくださいね」
…ただの写真なのに。写真、慣れてないのかな?
なんだか二人だけのヒミツのような気がして、ツナは段々楽しくなってきた。
「うん、分かった。俺らだけの秘密な!親方様にも言うなよ」
それからちょっと笑って、二人で仲直りと約束の指切りをした。
バジルが焼き増しをお願いしてた写真に、ツナの全裸の水浴び写真があると知るのは、もっと後になってからであった
============
バジルって、公式ではほとんど設定がないから、秘密多そうだな~と思ったんですが、バジルの秘密はエロイのしか思い浮かびませんでした。orz(またかいって感じすが 汗
次のお題は「水」に関することでお願いします。(^ω^)
雨でもいいし、海や川やプールや水着でもいいっす。汗でもいいです。
水の滴るバジルを見てみたい…(←別にぬれてるバジルじゃない表現でもいいっす。
遅くなる旨を書きに来ようと思っていたのですが、それもすっかり忘れていました。orz
申し訳ありません(大汗
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秘密 ツナバジ
カチャッと奥の部屋のドアを開けて、バジルがふらふらと上気した顔で出てきた。
すこし上に上がった口角が嬉しさを隠しきれていない様子だ。
「どうしたの?バジル君」
ツナが声を掛けると、「うわぁ!さっ、沢田殿!なっ、何でもないです」と明らかに動揺して台所の方へ去っていった。
あの人って、つくづく隠し事できない性格だよなぁ…
気になって、バジルの出て来た、普段は開かずの部屋のドアを開けた。
開かずの部屋って言うか、荷物置き場になって使ってないだけだけど。
「おう、なんだ?ツナか」
思ってもいない人物が中に居て、一瞬ぎょっとした。
そこに鎮座していたのは、やはり普段家に居ないツナの父親だった。
…そうだった、普段家に居ないから忘れていた。
ここは普段物置でもあるが、父の部屋でもあったんだ。
ごちゃごちゃとダンボールや本が散らばる、物置まんまの狭い床に、散らばる物に端をめくらせながら無理やり引いた敷き布団の上に、家光と乱れた掛け布団が乗っていた。
バジルとここで二人で何をしていたのか、ちょっと予想が付かず、ツナが混乱した。
「…父さん。バジル君と何やってたの?こんな所で」カチャカチャと部屋の鍵を無意識にいじりながらツナが聞く。
「気になるか?」
にやっと口角をゆがませる父に、一瞬ツナはむっとした。なんだよ、この、バジルと父さんのヒミツを聞くような心地悪さ。
「…別に。ただ、俺と違って、バジル君とは妙に親密だね」
「バジルは俺の部下だからな。教えて欲しいと言われれば、大抵のことは教える」
こんな部屋で、何教えてたんだよ…
段々いらいらしてツナの顔が赤くなるのを見て、家光がにやっと言った。
「なんだ、おまえ。バジルに妬いてるのか?」
その言葉に、さらにツナが怒りで赤くなった。
逆に決まってるだろ!!と思った瞬間、自分でも分かるほど顔が赤くなった。…ていうか、俺、父さんに妬いてるのか?
この狭い部屋で、バジルにあんな顔をさせるような事を、父がやっていたのかと思うと、何をしていたのか知りたくて、父を押し倒して締め上げたくなる。返り討ちに合うだけだろうけど。
だが、「何してたか、教えて欲しいか?」と余裕の笑顔で、ツナの求めていた言葉を言ってみせる、父のにやにや顔がいらついて、つい「いらないよ!」と吐き捨てると、ツナはバジルの後を追った。
父に聞かなくても、バジルに直接聞けばいいだけの話だ。
この時間は、母と台所に居るバジルはすぐに捕まえられた。
「母上殿のお手伝いが…」と渋るバジルを無理やり部屋に連れてくると、壁に押し付けて詰問した。
「バジル君、父さんとあの部屋で何やってたの?」
既に赤い顔のツナが尋常ならざる感じで攻め寄って来て、バジルもこれはまずいと思ったのか、赤い顔で押し黙っていたが、ポツリポツリと言いだした。
「も、申し訳ありません、沢田殿。その…」
ごにょごにょと言いにくそうだが、謝罪の言葉で確信した。ツナに謝るような事をやっていたらしいバジルに、ツナがますます腹を立てた。
「何をやっていたか言わなかったら、もう友達辞める!」
それは困ると、青い顔でバジルはしどろもどろに説明しだした。
「す、すみません。沢田殿に黙って…。親方様に見たいかと言われてつい…」
「見たいって、何を?」
「いくらお父上とはいえ、こっ、こういう事は本人に先に断っておくべきでした。申し訳ありません」
「だから何を見たんだよ!」
ちょっといらいらしてツナが詰め寄る。
「拙者、一枚しか持ってなかったので…、他のも見たくて…。拙者、沢田殿のことをほとんど知りませんし…つい…」
は?俺のことをほとんど知らないって?
どうやら自分の疑惑とは全く違う方向の話らしく、ツナも冷静を取り戻しながら聞いた。
「何?一枚って。俺の事に関すること?」
「あの…アルバムを…。沢田殿の小さい頃の写真とかを勝手に見せていただいて…」
「・・・・・・・・・・」
そこまで聞くと、あの父のいやらしいニヤニヤ顔も納得いった。そうか、そういう意味だったのか。
バジルが自分の昔の写真を見て、あの嬉しそうな笑顔だったのかと思うと、今度は綱吉も別の意味で赤くなって俯いた。
「あの…焼き増ししてもらう約束もしてあるのですが…いいでしょうか?」
口に手を当てて、申し訳なさげに上目遣いのバジルに、ツナは段々と嬉しい感情がわいて来た。
自分の写真をそこまで欲しがるバジルにちょっと照れてきた。
「いいけど…今度バジル君のも撮らせてよ。俺もバジル君の写真、持ってないからさ」
突然真っ赤になって、俯き、「い、いいですけど…だっ、誰にも見せないでくださいね」
…ただの写真なのに。写真、慣れてないのかな?
なんだか二人だけのヒミツのような気がして、ツナは段々楽しくなってきた。
「うん、分かった。俺らだけの秘密な!親方様にも言うなよ」
それからちょっと笑って、二人で仲直りと約束の指切りをした。
バジルが焼き増しをお願いしてた写真に、ツナの全裸の水浴び写真があると知るのは、もっと後になってからであった
============
バジルって、公式ではほとんど設定がないから、秘密多そうだな~と思ったんですが、バジルの秘密はエロイのしか思い浮かびませんでした。orz(またかいって感じすが 汗
次のお題は「水」に関することでお願いします。(^ω^)
雨でもいいし、海や川やプールや水着でもいいっす。汗でもいいです。
水の滴るバジルを見てみたい…(←別にぬれてるバジルじゃない表現でもいいっす。
米犬 さんから頂きましたお題で「お金」のSSです。
======================
お金 ツナバジ
「おいツナ、コーヒーが切れた。買ってこい」
とリボーンが言って、ツナは「何で俺が?自分で行って来いよ」と言い返した。
隣にいたバジルは、「拙者が行って来ます。今、持ち合わせが少ないですが、コーヒー代位ならあると思いますから」と、ごそごそと服の内ポケットから財布を取り出した。
「いいんだよ。バジル君」と言いながら、ツナはふと、バジル君ってお金持ってるのかな?と言う疑問がわいた。
ちょっと悪いと思いつつ観察すると、明らかに小銭しか入ってないような小銭入れを取り出し、中をごそごそとまさぐって、10円玉の量の方が多い小銭を、ひーふーみーと数えだした。
『やっぱりこの人、お金持ってないんだ・・・・。っていうか父さん、バジル君にお金渡してないのかよ!ただ働きさせてんの?』
今は日本に居ない父親にひとしきり悪態をつくと、ふと思った。
『って言うか、バジル君ってお金持ってないのに、いつもどうやってるんだろう?まさか野宿とか・・・。洗濯だって、コインランドリーが使えないから、好きだなんて言って、ごまかしてたんじゃ…』
そこまで考えると、段々バジルが可愛そうに思えてきた。
さすがにバジルに聞くのは失礼すぎて、やめた。
バジルのプライドの為にと、気づかない振りをした。
そんなバジルにもちろん買い物を行かせられるはずもなく、ツナは自分が行くと部屋を出た。
その後をバジルが「では拙者もお供します」と、チョコチョコと付いてきた。
二人ものいい働き手を目ざとく見つけた奈々は、早速出かける彼らにお使いを頼んだ。
「ランボちゃんもお願いね。おやつは一人、一つまでですからね」
結局家の買い物とランボのお守りも押し付けられてツナたちは、近所の小さなスーパーに向かった。
ツナがコーヒーやメモの品目をかごに詰め居ている間、バジルはお菓子コーナーで、ランボのお菓子の吟味に付き合っていた。
「バジル君も、好きなの選びなよ」
ツナはバジルに声をかけると、バジルは「勝手にお金を使うわけには…」と遠慮した。
「いいって、お使いの駄賃だよ。母さんも言ってたろ?一人一つだって。」と言って、自分はガムをかごに放りこんだ。
「では…あれを…」と、ちょっと照れたように指を刺したのは、明らかに子供が買うような、安い風車の付いたお菓子だった。
ああ、確かに外人なら、ちょっと珍しいかもしれないと、手にとって渡してやると、「拙者知ってます。これ、ニンジャが投げる武器なのですよね?」と、得意げに笑った。
「拙者の武器のように、投げても戻ってくる…えーえー、なんでしたっけ?て・て・手…」
「ああ、手裏剣だね」と言うと、バジルは、そうそれ!と言いたげに、嬉しそうに笑った。
凄い勘違いがあるようだけど、嬉しそうなので、否定することもないかと思い、綱吉もそれに乗った。
「よく知ってるね、バジル君。これは手裏剣が平和的にって作り変えられた、風車って言うんだよ。」
そう言って、プウッと息を吹きかけると、くるくる回りだしたそれを見て、さらに目を輝かせた。
「平和的!素晴らしいです。エコロジーですね!」
そう言って、自分もふうっと、風車に息を吹きかけた。
もうどっから突っ込んでいいのか分からなくなって、綱吉もつい微妙な笑みを返した。
少し父の気持ちが分かったような気がした。
そうして安物の玩具できゃっきゃっと喜ぶバジルを見て、いつか自分が大人になって、お金の自由が多少利くようになったら、バジルにもっと良いものをプレゼントしようと心に誓った。
「なぁ、バジル。そのゴミ、なんだ?」
病院のベッドの脇に飾られた玩具の風車を見て、家光が言った。
かなり安物な作りで、薄いセロファンは破れ、千切れかかっているのを無理やり補強されていた。
「ゴミじゃありません、親方様!これは沢田殿に頂いた、僕の宝物です。手裏剣の平和でエコロジーな使い方なんです!」
普段では滅多に見せないバジルのちょっと興奮した口調に、家光はちょっと驚いたが、意味不明の言動に思わず日本に居る息子に心の中で握手した。さすが親子だな…。な、面白いだろ?
「今回渡した金の余りで、そんなのの新品が一万個は買えるだろうに」
安い玩具をうっとりと眺めるバジルについ悪態を付くと、「お金じゃないんです…」と風車を眺めたまま返事され、家光はつい、バジルをもう嫁に出したような気分になってしまった。
「それに、日本ではカード、使えない小さなお店もあって、結構苦労しました。ホテルとかは良いんですけど、スーパーやコンビニなんかはお金でないと使えませんでしたし、銀行の換金所も閉まるの早くて苦労しました。次に日本に行く時は、その辺、気をつけます」
そうしてバジルは、いつかお金をもって、ツナにこれのお返しのプレゼントを買うのを想像して、また嬉しくなって、家光が心配するような微笑を見せるのだった。
=================
前からバジルって貧乏そうだなって思ってたので、お金ってお題、良いお題だ~(*´∀`)と思っていたのですが、実際考えてみたら、エロイのしか思いつかなくて、時間掛かりましたorzすみません・・・・。お菓子は犯しって変換されるし苦笑
関係ないすが、今回初めて気が付いたのですが、漫画の中ではバジルと家光って、日常会話してないっすね汗
「手伝え、バジル」「いくぞ、バジル」「待て、バジル」全部命令形の単語ばっか・・・苦笑
家光との会話はイタリア語を妄想したんですが、僕だとやっぱ変ですね。バジル。
次のお題は、「メガネ」なんてどうでしょうか?>ミル様(む、難しかったらごめんなさい)
いや、10年後バジルはメガネかけてたりして…等と妄想したら、萌えてきまして。汗
難しいようだったらまた出しなおします<(_ _)>
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お金 ツナバジ
「おいツナ、コーヒーが切れた。買ってこい」
とリボーンが言って、ツナは「何で俺が?自分で行って来いよ」と言い返した。
隣にいたバジルは、「拙者が行って来ます。今、持ち合わせが少ないですが、コーヒー代位ならあると思いますから」と、ごそごそと服の内ポケットから財布を取り出した。
「いいんだよ。バジル君」と言いながら、ツナはふと、バジル君ってお金持ってるのかな?と言う疑問がわいた。
ちょっと悪いと思いつつ観察すると、明らかに小銭しか入ってないような小銭入れを取り出し、中をごそごそとまさぐって、10円玉の量の方が多い小銭を、ひーふーみーと数えだした。
『やっぱりこの人、お金持ってないんだ・・・・。っていうか父さん、バジル君にお金渡してないのかよ!ただ働きさせてんの?』
今は日本に居ない父親にひとしきり悪態をつくと、ふと思った。
『って言うか、バジル君ってお金持ってないのに、いつもどうやってるんだろう?まさか野宿とか・・・。洗濯だって、コインランドリーが使えないから、好きだなんて言って、ごまかしてたんじゃ…』
そこまで考えると、段々バジルが可愛そうに思えてきた。
さすがにバジルに聞くのは失礼すぎて、やめた。
バジルのプライドの為にと、気づかない振りをした。
そんなバジルにもちろん買い物を行かせられるはずもなく、ツナは自分が行くと部屋を出た。
その後をバジルが「では拙者もお供します」と、チョコチョコと付いてきた。
二人ものいい働き手を目ざとく見つけた奈々は、早速出かける彼らにお使いを頼んだ。
「ランボちゃんもお願いね。おやつは一人、一つまでですからね」
結局家の買い物とランボのお守りも押し付けられてツナたちは、近所の小さなスーパーに向かった。
ツナがコーヒーやメモの品目をかごに詰め居ている間、バジルはお菓子コーナーで、ランボのお菓子の吟味に付き合っていた。
「バジル君も、好きなの選びなよ」
ツナはバジルに声をかけると、バジルは「勝手にお金を使うわけには…」と遠慮した。
「いいって、お使いの駄賃だよ。母さんも言ってたろ?一人一つだって。」と言って、自分はガムをかごに放りこんだ。
「では…あれを…」と、ちょっと照れたように指を刺したのは、明らかに子供が買うような、安い風車の付いたお菓子だった。
ああ、確かに外人なら、ちょっと珍しいかもしれないと、手にとって渡してやると、「拙者知ってます。これ、ニンジャが投げる武器なのですよね?」と、得意げに笑った。
「拙者の武器のように、投げても戻ってくる…えーえー、なんでしたっけ?て・て・手…」
「ああ、手裏剣だね」と言うと、バジルは、そうそれ!と言いたげに、嬉しそうに笑った。
凄い勘違いがあるようだけど、嬉しそうなので、否定することもないかと思い、綱吉もそれに乗った。
「よく知ってるね、バジル君。これは手裏剣が平和的にって作り変えられた、風車って言うんだよ。」
そう言って、プウッと息を吹きかけると、くるくる回りだしたそれを見て、さらに目を輝かせた。
「平和的!素晴らしいです。エコロジーですね!」
そう言って、自分もふうっと、風車に息を吹きかけた。
もうどっから突っ込んでいいのか分からなくなって、綱吉もつい微妙な笑みを返した。
少し父の気持ちが分かったような気がした。
そうして安物の玩具できゃっきゃっと喜ぶバジルを見て、いつか自分が大人になって、お金の自由が多少利くようになったら、バジルにもっと良いものをプレゼントしようと心に誓った。
「なぁ、バジル。そのゴミ、なんだ?」
病院のベッドの脇に飾られた玩具の風車を見て、家光が言った。
かなり安物な作りで、薄いセロファンは破れ、千切れかかっているのを無理やり補強されていた。
「ゴミじゃありません、親方様!これは沢田殿に頂いた、僕の宝物です。手裏剣の平和でエコロジーな使い方なんです!」
普段では滅多に見せないバジルのちょっと興奮した口調に、家光はちょっと驚いたが、意味不明の言動に思わず日本に居る息子に心の中で握手した。さすが親子だな…。な、面白いだろ?
「今回渡した金の余りで、そんなのの新品が一万個は買えるだろうに」
安い玩具をうっとりと眺めるバジルについ悪態を付くと、「お金じゃないんです…」と風車を眺めたまま返事され、家光はつい、バジルをもう嫁に出したような気分になってしまった。
「それに、日本ではカード、使えない小さなお店もあって、結構苦労しました。ホテルとかは良いんですけど、スーパーやコンビニなんかはお金でないと使えませんでしたし、銀行の換金所も閉まるの早くて苦労しました。次に日本に行く時は、その辺、気をつけます」
そうしてバジルは、いつかお金をもって、ツナにこれのお返しのプレゼントを買うのを想像して、また嬉しくなって、家光が心配するような微笑を見せるのだった。
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前からバジルって貧乏そうだなって思ってたので、お金ってお題、良いお題だ~(*´∀`)と思っていたのですが、実際考えてみたら、エロイのしか思いつかなくて、時間掛かりましたorzすみません・・・・。お菓子は犯しって変換されるし苦笑
関係ないすが、今回初めて気が付いたのですが、漫画の中ではバジルと家光って、日常会話してないっすね汗
「手伝え、バジル」「いくぞ、バジル」「待て、バジル」全部命令形の単語ばっか・・・苦笑
家光との会話はイタリア語を妄想したんですが、僕だとやっぱ変ですね。バジル。
次のお題は、「メガネ」なんてどうでしょうか?>ミル様(む、難しかったらごめんなさい)
いや、10年後バジルはメガネかけてたりして…等と妄想したら、萌えてきまして。汗
難しいようだったらまた出しなおします<(_ _)>