バジルサイト管理人によるバジル好きのためのブログ。 バジルに関する短編小説やイラスト、萌え語りなどを載せています。
今日もみんなでバジってこーぜ。
ネコって・・・呼ぶと一瞬「はっ」と振り返って、すぐそっぽ向くのにまた呼ぶと「はっ」と振り返るところが可愛いです。
でもお話は可愛げの欠片も無い話で・・・10年後スクバジです。
[ネコ]
くしゃ、と濡れる髪を撫でられた。言外に、さっさと乾かせと鋭い目が言っている。
それに睨むように不満げな視線を返せば、バスタオルを投げられた。
「せめて早く拭け。テメェは碌に自分の世話も出来ねぇのか」
「冗談・・・自分とお前の世話までしていますよ。」
「言うじゃねぇか。」
言ってから、失敗したと解っていた。どう考えたって、世話をされているのは自分なのだ。
スクアーロはこう見えて家庭的で、自分はこれで居て大雑把。悪い意味で。
髪だって、面倒になって妖怪さながらに湿ったまま放置してソファで寝転んでいるところをスクアーロに強制連行でドライヤーを当てられるのが日常茶飯事。
バジルからすれば、彼があんなにも細かく髪に気を使っていられるのはいっそ才能だとすら思っている。自分ではどうやったって無理だった。
結局今日も、呆れたというより諦めたスクアーロがドライヤーを手に戻ってくるのを横目で見ながら、されるがままに髪を乾かされる。我ながらふてぶてしいと思ったが、この男の前でだけだ。人生の内で、そう長い時間じゃあない。偶には、これくらい。
不意に、熱風の音に混ざってスクアーロが笑った。鼻で。
ネコみたいな奴だ、と。どこを差して言ったのかは知れない。
「そうですか?」
「あいつらの前じゃあ犬だけどなぁ。」
「・・・猫、飼った事があるんですよ。」
悪戯っぽく振り返る。スクアーロは少し、意外な顔をしていた。
バジルは物にも人にも執着をあまりしない。否、執着をしてもその中心に自分はいない。だから、ペットを飼うなんて意外だったのだろう。
「・・・昔、野良を拾って。」
「笑い話か?」
「でも3日しかいませんでしたけどね。・・・逃げられました。」
今度は彼は盛大に笑った。彼の笑いの的を射るようなオチだったのだろう。
「野良犬が猫を飼うなんざ、聞いたこと無ぇからなぁ?」
「ご飯、あげたんですけどね・・・名前もあげたのに。薄情な奴でした。」
スクアーロは相変わらず笑っているが、思い出すと少し悲しい。
自分は、かなり本気だったのに。一緒に生きていこうと思っていたのに。
「分不相応だったんだろ、テメェが命を預かるなんざ。・・・自分の命の面倒見れるようになってからだなぁ?」
「なんとでも。」
スクアーロの言葉が苦い。でも、長い髪の一房を丁寧に乾かす彼にこの表情は読めていないだろう。
そう、分不相応だったのだ。きっと。
猫が欲しかったんじゃない。命が欲しかったのだから。自分無しでは世界にいられない、命が掌の中に欲しかった。なんて、馬鹿らしくて卑怯なことだろう。
そんな打算的な事を思っていたからきっと、あの猫だって。
「ほらよ」
終わった、と仕上げのようにスクアーロが髪を救う。
先程までとは別物のような、柔らかで繊細な髪がスクアーロの掌で流れる。
猫は丁度、この髪と同じ色をしていた。なんて言ったらこの男はまた笑うのだろう。だから、言わないでおいた。
昔、掌の中に命を欲しがって猫を飼おうとした自分が
彼好みの長髪を彼の掌の中で遊ばせる、猫になってしまうなんて。
酷く屈辱的なような気もするが、でも、それでも構わない。
だって命が欲しかったのは、きっと、要するに。
傍に温もりが欲しかったということで、得たかったのはきっと、呼吸の出来る居場所で。
今それがここにあるのならば、猫がどちらでも構わないのだから。
人生の中で今だけ、ほんの、少しだけ。
掌に甘える猫でいたい。
================
セーラーに引き続き、お題は可愛いのにあまり可愛げの無いバジルくんで失礼しました。
次のお題は・・・ピクニックでお願いします!
でもお話は可愛げの欠片も無い話で・・・10年後スクバジです。
[ネコ]
くしゃ、と濡れる髪を撫でられた。言外に、さっさと乾かせと鋭い目が言っている。
それに睨むように不満げな視線を返せば、バスタオルを投げられた。
「せめて早く拭け。テメェは碌に自分の世話も出来ねぇのか」
「冗談・・・自分とお前の世話までしていますよ。」
「言うじゃねぇか。」
言ってから、失敗したと解っていた。どう考えたって、世話をされているのは自分なのだ。
スクアーロはこう見えて家庭的で、自分はこれで居て大雑把。悪い意味で。
髪だって、面倒になって妖怪さながらに湿ったまま放置してソファで寝転んでいるところをスクアーロに強制連行でドライヤーを当てられるのが日常茶飯事。
バジルからすれば、彼があんなにも細かく髪に気を使っていられるのはいっそ才能だとすら思っている。自分ではどうやったって無理だった。
結局今日も、呆れたというより諦めたスクアーロがドライヤーを手に戻ってくるのを横目で見ながら、されるがままに髪を乾かされる。我ながらふてぶてしいと思ったが、この男の前でだけだ。人生の内で、そう長い時間じゃあない。偶には、これくらい。
不意に、熱風の音に混ざってスクアーロが笑った。鼻で。
ネコみたいな奴だ、と。どこを差して言ったのかは知れない。
「そうですか?」
「あいつらの前じゃあ犬だけどなぁ。」
「・・・猫、飼った事があるんですよ。」
悪戯っぽく振り返る。スクアーロは少し、意外な顔をしていた。
バジルは物にも人にも執着をあまりしない。否、執着をしてもその中心に自分はいない。だから、ペットを飼うなんて意外だったのだろう。
「・・・昔、野良を拾って。」
「笑い話か?」
「でも3日しかいませんでしたけどね。・・・逃げられました。」
今度は彼は盛大に笑った。彼の笑いの的を射るようなオチだったのだろう。
「野良犬が猫を飼うなんざ、聞いたこと無ぇからなぁ?」
「ご飯、あげたんですけどね・・・名前もあげたのに。薄情な奴でした。」
スクアーロは相変わらず笑っているが、思い出すと少し悲しい。
自分は、かなり本気だったのに。一緒に生きていこうと思っていたのに。
「分不相応だったんだろ、テメェが命を預かるなんざ。・・・自分の命の面倒見れるようになってからだなぁ?」
「なんとでも。」
スクアーロの言葉が苦い。でも、長い髪の一房を丁寧に乾かす彼にこの表情は読めていないだろう。
そう、分不相応だったのだ。きっと。
猫が欲しかったんじゃない。命が欲しかったのだから。自分無しでは世界にいられない、命が掌の中に欲しかった。なんて、馬鹿らしくて卑怯なことだろう。
そんな打算的な事を思っていたからきっと、あの猫だって。
「ほらよ」
終わった、と仕上げのようにスクアーロが髪を救う。
先程までとは別物のような、柔らかで繊細な髪がスクアーロの掌で流れる。
猫は丁度、この髪と同じ色をしていた。なんて言ったらこの男はまた笑うのだろう。だから、言わないでおいた。
昔、掌の中に命を欲しがって猫を飼おうとした自分が
彼好みの長髪を彼の掌の中で遊ばせる、猫になってしまうなんて。
酷く屈辱的なような気もするが、でも、それでも構わない。
だって命が欲しかったのは、きっと、要するに。
傍に温もりが欲しかったということで、得たかったのはきっと、呼吸の出来る居場所で。
今それがここにあるのならば、猫がどちらでも構わないのだから。
人生の中で今だけ、ほんの、少しだけ。
掌に甘える猫でいたい。
================
セーラーに引き続き、お題は可愛いのにあまり可愛げの無いバジルくんで失礼しました。
次のお題は・・・ピクニックでお願いします!
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にゅーーーーーふぇいすなさくらさんより頂きましたお題、セーラー!
確実にさくらさん好みでは無さそうな残念なセーラー話でいきます。
=================
セーラー 10年後ツナバジ
彼の事を、沢田綱吉は良く知っていた。
また、彼も沢田綱吉・・・ボンゴレ10代目の自分の事を良く知ってくれている。
長い付き合いなのだ。そう、長い。もし・・・こんな道に歩まず、極々平凡に日本で暮らしていたならばきっと一生出会うことは無かったであろう、相手。
でも、今は・・・掛け替えの無い何年分もの記憶がある。彼と築き上げてきたものが沢山ある。
その昔に京子は言った。ツナと、彼・・・バジルは双子のようだと。
確かに、まだ幼い時分の二人は似ていた。何がどう、というのではないけれど・・・。
そんな風にして育ってきたのだから、彼がどんな人間かツナは良く知っていた。
そして、その人間性に反してどんなに恐れられているかも知っている。下手をすれば、ボスである自分以上に・・・ファミリーの外からは恐れられる存在。
ボンゴレ門外顧問として君臨する彼が、酷く和やかで穏やかな人間だということをツナは長い付き合いの中で良く把握しているが・・・
その青い切れ長の目と美しい長髪、抜けるような白い肌。
一見して女性と見紛うような柔らかな美貌のままに、寸分の躊躇いも見せずにボンゴレに仇なす存在を消し去る様がきっと・・・余りに相反した印象を与えるが故に、彼は必要以上に恐れられていた。
あまり喋らないこともその要因だろう。人見知りをするわけではないのだが、昔から何処か自分を一歩引いたように見ているところと日本人以上に謙虚な性格のせいで、バジルは殆ど仕事の場で喋らない。
そのせいでより一層、バジルの性格は冷たいものに見られてしまう。
長年バジルを見てきたツナにとっては、バジルは生真面目で穏やかな人間で、全く冷たい、恐ろしい・・・という印象は与えないのだが・・・
その日、初めてツナの目は・・・バジルという数年来のパートナーを恐ろしいものとして認識した。
「・・・沢田殿、お目覚めですか・・・?」
いつものような、誤解を招く少ない言葉と切れ長の目。
ふわりとした印象だった幼い頃から比べ、大分鋭い印象になった彼が
何故か
そう、何故か・・・セーラー服を着ていた。
「・・・はい?」
得体の知れない存在を前に、ツナは思わず不躾に疑問符を投げた。
「・・・大丈夫ですか?体調不良でお休みになられたと伺ったものですから、差し出がましいとは思いつつお見舞いに参ったのですが・・・」
心配そうに眉根を寄せるのはとても様になるのだが。首から下を見なければ。
「・・・いや、あの・・・え、夢?」
「・・・沢田殿?」
本格的に心配そうな彼の瞳に映る自分を見て、現状を改めて思い出す。
そう、ここ数日同盟ファミリーの内部紛争の影響で慌しく・・・とうとう今日は寝不足が祟って足元がふらついたため、大事を取って休息としたのだ。
そんな自分を心配して、彼は見舞ってくれたのだろう。それはわかった。それは良い。ただ・・・
「・・・何で、セーラー服なの・・・?」
ただただ、シリアスな表情をしている彼の、表情(及び年齢・性別)に合わない服装が気になって仕方なかった。
如何にバジルが女性的な美しい顔立ちだとしても、・・・まだ幼い頃なら似合っただろう。でも流石にもう24歳の立派な成人男子。顔が女性的でも体格は男だ。それに、女性的だからと言ってセーラーが似合うとは限らない。・・・この厳しい涼しげな顔にセーラー服はあまりにミスマッチだった。見ていて悲しみすら湧いてくる。
「・・・セーラー服・・・と、言うのですか?」
「・・・・」
きょとん、としている彼の表情は、大人になった今でも本質が変わらないことを示していて。
それを可愛らしくも思いつつ、何故こうも学習しないのだろうかと溜め息が出てしまう。
あぁ、もう、全く!
「・・・今度は誰に何を教わってきたの」
「はい、親方様とリボーンさんとディーノ殿に擦れ違いまして」
「また凄い面子だねそれ・・・」
「沢田殿のお見舞いへ行くといったところ、この服は日本に古来より伝わるお見舞いの正装で、この服で見舞えば回復祈願にもなるとお聞きしたものですから・・・それで、如何にかして手配しなければと思っていたところ、ディーノ殿が拙者用のサイズを持っているとの事で快く貸して下さったのです。」
何故ここで彼は、体格の違う彼が自分用のサイズを持っていることに疑問を覚えないのだろうかと今更に嘆く。
「・・・そう・・・」
若干、体調不良も相まって疲れきった返事を返したところで、基本的に相手の反応を気にしない(所謂空気が読めないというやつだ)バジルはにこにこと笑ってから、ツナの目をじっと見つめて。
「・・・沢田殿に、早く良くなって頂きたくて・・・」
究極の言葉と上目遣いをセットで投下。
あぁ、ほら。・・・だからみんな知らないんだ。
切れ長の目。鋭い眼差し。でも、彼の中身はこんなにも
「・・・ありがとう、バジルくん。・・・でも次からはもう少しその3人は疑った方が良いからね。」
「?」
きょとん、と小首を傾げる愛すべき恋人の額を指で突いた。
可愛くて可愛くて堪らない君よ、
お願いだからオレ以外の男に騙されないでよね!
周りが恐れる門外顧問殿は、彼ら嘘吐きの愛すべきカモなのだ。
============
10年後バジル・・・あんな相貌で皆に遊ばれてたら可愛いなぁと思います。
では次のお題・・・クロさん、過ぎちゃいそうですが・・・
「ホワイトデー」でお願いしますっ!
確実にさくらさん好みでは無さそうな残念なセーラー話でいきます。
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セーラー 10年後ツナバジ
彼の事を、沢田綱吉は良く知っていた。
また、彼も沢田綱吉・・・ボンゴレ10代目の自分の事を良く知ってくれている。
長い付き合いなのだ。そう、長い。もし・・・こんな道に歩まず、極々平凡に日本で暮らしていたならばきっと一生出会うことは無かったであろう、相手。
でも、今は・・・掛け替えの無い何年分もの記憶がある。彼と築き上げてきたものが沢山ある。
その昔に京子は言った。ツナと、彼・・・バジルは双子のようだと。
確かに、まだ幼い時分の二人は似ていた。何がどう、というのではないけれど・・・。
そんな風にして育ってきたのだから、彼がどんな人間かツナは良く知っていた。
そして、その人間性に反してどんなに恐れられているかも知っている。下手をすれば、ボスである自分以上に・・・ファミリーの外からは恐れられる存在。
ボンゴレ門外顧問として君臨する彼が、酷く和やかで穏やかな人間だということをツナは長い付き合いの中で良く把握しているが・・・
その青い切れ長の目と美しい長髪、抜けるような白い肌。
一見して女性と見紛うような柔らかな美貌のままに、寸分の躊躇いも見せずにボンゴレに仇なす存在を消し去る様がきっと・・・余りに相反した印象を与えるが故に、彼は必要以上に恐れられていた。
あまり喋らないこともその要因だろう。人見知りをするわけではないのだが、昔から何処か自分を一歩引いたように見ているところと日本人以上に謙虚な性格のせいで、バジルは殆ど仕事の場で喋らない。
そのせいでより一層、バジルの性格は冷たいものに見られてしまう。
長年バジルを見てきたツナにとっては、バジルは生真面目で穏やかな人間で、全く冷たい、恐ろしい・・・という印象は与えないのだが・・・
その日、初めてツナの目は・・・バジルという数年来のパートナーを恐ろしいものとして認識した。
「・・・沢田殿、お目覚めですか・・・?」
いつものような、誤解を招く少ない言葉と切れ長の目。
ふわりとした印象だった幼い頃から比べ、大分鋭い印象になった彼が
何故か
そう、何故か・・・セーラー服を着ていた。
「・・・はい?」
得体の知れない存在を前に、ツナは思わず不躾に疑問符を投げた。
「・・・大丈夫ですか?体調不良でお休みになられたと伺ったものですから、差し出がましいとは思いつつお見舞いに参ったのですが・・・」
心配そうに眉根を寄せるのはとても様になるのだが。首から下を見なければ。
「・・・いや、あの・・・え、夢?」
「・・・沢田殿?」
本格的に心配そうな彼の瞳に映る自分を見て、現状を改めて思い出す。
そう、ここ数日同盟ファミリーの内部紛争の影響で慌しく・・・とうとう今日は寝不足が祟って足元がふらついたため、大事を取って休息としたのだ。
そんな自分を心配して、彼は見舞ってくれたのだろう。それはわかった。それは良い。ただ・・・
「・・・何で、セーラー服なの・・・?」
ただただ、シリアスな表情をしている彼の、表情(及び年齢・性別)に合わない服装が気になって仕方なかった。
如何にバジルが女性的な美しい顔立ちだとしても、・・・まだ幼い頃なら似合っただろう。でも流石にもう24歳の立派な成人男子。顔が女性的でも体格は男だ。それに、女性的だからと言ってセーラーが似合うとは限らない。・・・この厳しい涼しげな顔にセーラー服はあまりにミスマッチだった。見ていて悲しみすら湧いてくる。
「・・・セーラー服・・・と、言うのですか?」
「・・・・」
きょとん、としている彼の表情は、大人になった今でも本質が変わらないことを示していて。
それを可愛らしくも思いつつ、何故こうも学習しないのだろうかと溜め息が出てしまう。
あぁ、もう、全く!
「・・・今度は誰に何を教わってきたの」
「はい、親方様とリボーンさんとディーノ殿に擦れ違いまして」
「また凄い面子だねそれ・・・」
「沢田殿のお見舞いへ行くといったところ、この服は日本に古来より伝わるお見舞いの正装で、この服で見舞えば回復祈願にもなるとお聞きしたものですから・・・それで、如何にかして手配しなければと思っていたところ、ディーノ殿が拙者用のサイズを持っているとの事で快く貸して下さったのです。」
何故ここで彼は、体格の違う彼が自分用のサイズを持っていることに疑問を覚えないのだろうかと今更に嘆く。
「・・・そう・・・」
若干、体調不良も相まって疲れきった返事を返したところで、基本的に相手の反応を気にしない(所謂空気が読めないというやつだ)バジルはにこにこと笑ってから、ツナの目をじっと見つめて。
「・・・沢田殿に、早く良くなって頂きたくて・・・」
究極の言葉と上目遣いをセットで投下。
あぁ、ほら。・・・だからみんな知らないんだ。
切れ長の目。鋭い眼差し。でも、彼の中身はこんなにも
「・・・ありがとう、バジルくん。・・・でも次からはもう少しその3人は疑った方が良いからね。」
「?」
きょとん、と小首を傾げる愛すべき恋人の額を指で突いた。
可愛くて可愛くて堪らない君よ、
お願いだからオレ以外の男に騙されないでよね!
周りが恐れる門外顧問殿は、彼ら嘘吐きの愛すべきカモなのだ。
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10年後バジル・・・あんな相貌で皆に遊ばれてたら可愛いなぁと思います。
では次のお題・・・クロさん、過ぎちゃいそうですが・・・
「ホワイトデー」でお願いしますっ!
少々遅れまして申し訳ない・・・折角フミヤさんから優等生の称号を得たのに!←
ところで苺って美味しいですよねー。ということに先月気付きました。ずっと苦手だったんですが・・・甘い苺のなんと美味しいこと!感動しました。美味しい食べ物って素晴らしい。
そんなわけで美味しい苺に纏わるディノバジいきます!
===============
苺 10年後ディノバジ
「・・・だからお前は生意気になったって言ってるんだよ。」
長い前髪を掻き上げて、少々溜め息交じりにディーノは呟く。
2月5日、午前0時過ぎ。
既にディーノの誕生日は過ぎているものの、当日は何かと忙しかった為・・・5日になってから、身内だけのパーティーがひっそり行われているのだ。
身内というだけあって、ディーノの誕生日と言いながらもディーノを中心にしていたのは最初だけ。皆すぐにばらけていつも通りの宴会騒ぎとなったのだが・・・その会場の隅、用意された誕生日ケーキの前で・・・ディーノとバジルの間には不穏な空気が漂っていた。
「そうやって、言い逃げはしないで下さい。・・・拙者の言い分だってわかってるんでしょう?」
切れ長の目がディーノを捉える。
それに負けじと、ディーノも鋭い眼光でバジルを見据えた。
「解ってる。お前の言いたい事なんざ簡単に想像もつくし、・・・でもだからって何でもお前の言う通りにしてやると思うなよ?・・・オレがお前を甘やかし過ぎてるからって、いつもがいつもそうじゃないからな。」
「・・・冗談でしょう?・・・ディーノ殿はいつも勝手です。自分の言い分ばかり通して・・・拙者のお願いなんていつも聞いて下さらないじゃないですか。」
「そんな事無ぇだろ。」
「あります!・・・今だって、拙者の言う事をこんな風に頑なに却下され・・・」
「それは、お前が馬鹿な事言うからだろ。・・・オレにだって譲れないもんがあるんだよ。」
「拙者にだってあります!」
「・・・そういう我侭ばっかり言うな。お前ももう子どもじゃないだろ・・・ったく、子どもの頃のお前の方が素直だったのにな。」
「・・・そんな・・・っ・・・子どもの頃は、・・・馬鹿だっただけです。おぬしの言うことをなんでも聞いていれば良いと思っていただけで・・・」
「・・・でも、・・・喜んでた。お前の顔が嘘か本当か、オレがわからないわけ無いだろ。」
ぐ、と言葉に詰まるバジルと、相変わらず鋭い視線を送るディーノ・・・。
そんな会場の隅の異変に気づいたのは、一応主催者である沢田綱吉で・・・彼は2人とケーキを見比べて、現状を把握すると・・・ディーノの比にならない深い深い溜め息を吐いたのだった。
「・・・2人とも、またやってるんですか・・・」
仕方なしに間に入れば、同時に縋るような視線を送られて。
「沢田殿、ディーノ殿が無茶を言うんです・・・っ」
「ツナ、コイツの我侭を何とかしてやってくれ。」
「・・・・一応聞きますけど、その無茶と我侭の内訳は?」
「折角の苺を食べてくれないんです!」
「好きなくせに苺を食べようとしないんだよ。」
「・・・・」
「今日はおぬしの誕生日でしょう!ディーノ殿に全部差し上げるのが筋ですし、拙者もそうしたいんです!何で解って下さらないんですか・・・っ!」
「オレの誕生日くらいオレの言う事聞けよな。・・・お前苺好きなんだから、全部やるって言ってるだろ。」
「拙者はディーノ殿が美味しく食べて下さればそれで満足なんですっ」
「オレだって、お前が好きなもんならお前に食わしてやりたいんだよ。」
「・・・半分ずつ食べれば良いじゃないですか・・・」
「全部あげたいんです!」
「全部やりたいんだって!」
心底くだらない、と非常に面倒な心情を隠すこともなく曝け出して、ツナは放置を決め込むと踵を返した。
何でこうも・・・大の男が2人して、こんな可愛らしい喧嘩が出来るものか。
この歳でやられると正直言ってウザイ以外の何ものでも無い。
後ろで未だに言い争っているマフィア2人の声を聞きながら、ツナは来年のディーノの誕生日には苺の無い誕生日ケーキにしてやろうと固く決意するのだった。
=============
急ごしらえな感じになってしまってすみません;;
苺を奪い合う・・・じゃなくて、譲り合うディーノ32とバジル24でした。苺より甘い2人にツナもげんなりです。
お次のお題は・・・[炬燵]でお願いしますっ
ところで苺って美味しいですよねー。ということに先月気付きました。ずっと苦手だったんですが・・・甘い苺のなんと美味しいこと!感動しました。美味しい食べ物って素晴らしい。
そんなわけで美味しい苺に纏わるディノバジいきます!
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苺 10年後ディノバジ
「・・・だからお前は生意気になったって言ってるんだよ。」
長い前髪を掻き上げて、少々溜め息交じりにディーノは呟く。
2月5日、午前0時過ぎ。
既にディーノの誕生日は過ぎているものの、当日は何かと忙しかった為・・・5日になってから、身内だけのパーティーがひっそり行われているのだ。
身内というだけあって、ディーノの誕生日と言いながらもディーノを中心にしていたのは最初だけ。皆すぐにばらけていつも通りの宴会騒ぎとなったのだが・・・その会場の隅、用意された誕生日ケーキの前で・・・ディーノとバジルの間には不穏な空気が漂っていた。
「そうやって、言い逃げはしないで下さい。・・・拙者の言い分だってわかってるんでしょう?」
切れ長の目がディーノを捉える。
それに負けじと、ディーノも鋭い眼光でバジルを見据えた。
「解ってる。お前の言いたい事なんざ簡単に想像もつくし、・・・でもだからって何でもお前の言う通りにしてやると思うなよ?・・・オレがお前を甘やかし過ぎてるからって、いつもがいつもそうじゃないからな。」
「・・・冗談でしょう?・・・ディーノ殿はいつも勝手です。自分の言い分ばかり通して・・・拙者のお願いなんていつも聞いて下さらないじゃないですか。」
「そんな事無ぇだろ。」
「あります!・・・今だって、拙者の言う事をこんな風に頑なに却下され・・・」
「それは、お前が馬鹿な事言うからだろ。・・・オレにだって譲れないもんがあるんだよ。」
「拙者にだってあります!」
「・・・そういう我侭ばっかり言うな。お前ももう子どもじゃないだろ・・・ったく、子どもの頃のお前の方が素直だったのにな。」
「・・・そんな・・・っ・・・子どもの頃は、・・・馬鹿だっただけです。おぬしの言うことをなんでも聞いていれば良いと思っていただけで・・・」
「・・・でも、・・・喜んでた。お前の顔が嘘か本当か、オレがわからないわけ無いだろ。」
ぐ、と言葉に詰まるバジルと、相変わらず鋭い視線を送るディーノ・・・。
そんな会場の隅の異変に気づいたのは、一応主催者である沢田綱吉で・・・彼は2人とケーキを見比べて、現状を把握すると・・・ディーノの比にならない深い深い溜め息を吐いたのだった。
「・・・2人とも、またやってるんですか・・・」
仕方なしに間に入れば、同時に縋るような視線を送られて。
「沢田殿、ディーノ殿が無茶を言うんです・・・っ」
「ツナ、コイツの我侭を何とかしてやってくれ。」
「・・・・一応聞きますけど、その無茶と我侭の内訳は?」
「折角の苺を食べてくれないんです!」
「好きなくせに苺を食べようとしないんだよ。」
「・・・・」
「今日はおぬしの誕生日でしょう!ディーノ殿に全部差し上げるのが筋ですし、拙者もそうしたいんです!何で解って下さらないんですか・・・っ!」
「オレの誕生日くらいオレの言う事聞けよな。・・・お前苺好きなんだから、全部やるって言ってるだろ。」
「拙者はディーノ殿が美味しく食べて下さればそれで満足なんですっ」
「オレだって、お前が好きなもんならお前に食わしてやりたいんだよ。」
「・・・半分ずつ食べれば良いじゃないですか・・・」
「全部あげたいんです!」
「全部やりたいんだって!」
心底くだらない、と非常に面倒な心情を隠すこともなく曝け出して、ツナは放置を決め込むと踵を返した。
何でこうも・・・大の男が2人して、こんな可愛らしい喧嘩が出来るものか。
この歳でやられると正直言ってウザイ以外の何ものでも無い。
後ろで未だに言い争っているマフィア2人の声を聞きながら、ツナは来年のディーノの誕生日には苺の無い誕生日ケーキにしてやろうと固く決意するのだった。
=============
急ごしらえな感じになってしまってすみません;;
苺を奪い合う・・・じゃなくて、譲り合うディーノ32とバジル24でした。苺より甘い2人にツナもげんなりです。
お次のお題は・・・[炬燵]でお願いしますっ
あけましておめでとうございます、米犬です!
年が変わるといろんなことが変わりますね。よくも悪くも変化はありますが、私も皆様にとっても、楽しい一年になれば良いなと思います。
さて、雀さん(お疲れ様でした!)から頂いたお題はバレンタイン!書こうとして思い出しましたが丁度昨年、バジリ庵が始まってすぐ最初に貰ったお題がバレンタインでした(笑)懐かしいなー。
あの時は山バジ♀でしたが、今回はディノバジ♀で行きます★
=========
「・・・」
「・・・あちっ」
「・・・!」
「いや、大丈夫だって、あっち行ってろ。」
2月中旬、バレンタインデー。
数多くの女性が彼の為にチョコを届けているのだろうに、その本人・・・五千のファミリーを従えるボスであるディーノは、今、バジルの住む狭いアパートの部屋の非常に狭いキッチンで、チョコレート作りに励んでいた。
部下の居ない今、彼の身にチョコレート如きで何か起きては堪らないとバジルは心配そうにこっそりキッチンを覗くのだが、手伝う事も見守ることも禁止されている以上・・・バジルはただ、聞き耳を立てて彼が無事かどうかを探るしかなかった。
何でこんなことになったのかと言えば、話はつい昨夜に遡る。
元はと言えば悪いのは・・・自分なのだ。と、バジルは思い返して溜め息を吐いた。
バレンタインを控えたその日、ディーノからはどこかうきうきしたように電話が掛かってきて。
勿論、内容は・・・非常に控えめで遠まわしなチョコの催促。
そんな彼を勿論愛おしく思うバジルであったし、尊敬し、愛するディーノの為・・・既にチョコは準備してあった。
数年前にディーノから日本のバレンタインを教わって以来、毎年こうしてチョコレートを作るのはバジルにとって恒例の行事なのだ。
が、しかし。
教わってから数年来、バジルの心の中にはとても気になることがあって・・・
いけない事だとは思いつつ、バジルは聞いてしまったのだ。
ディーノ殿は、拙者にチョコをくれますか?なんて。
バジルはディーノから、バレンタインは好きな人にチョコを送る日だ!と教わっていた。だから毎年作ったし、ディーノもそれを楽しみにしていてくれた・・・が、今まで一度としてディーノからチョコを貰ったことはない。
丁度翌月になるとチョコのお礼にと毎年飴をくれるのだが、・・・バレンタインの日にチョコレートをくれることは一度もなかった。
ディーノとバジルは恋人同士で、・・・勿論、バジルはディーノを疑うわけではない。ないのだが・・・何故、くれないのだろうか・・・と、毎年気になっていたのだ。
言い訳のように、そんな説明を慌ててディーノに付け足したところ・・・驚いたのはディーノで。
どうやらディーノが教えてくれた日本のバレンタインの情報にはかけていた言葉があって、正しくは・・・「女の子が、好きな人にチョコを渡す日」だそうだ。
そしてそのチョコレートの返事に、ホワイトデーに男の子はキャンディを渡すのだという。
それを聞いて長年の疑問が解けたバジルはすっきりしたのだけれど、ディーノの方はそうはいかなかった。
自分が言葉足らずに教えてしまったせいで、何年間もそんな思いをさせていたのか・・・と項垂れた彼は、どう思ったか・・・チョコレート作りの材料及び道具を大量に買い込んで、バジルの家へやってきたのだった。
そして、今に至る。
バジルは勿論、そんな事はしないで良いと何度も言ったのだが・・・彼も一度言い出した事を簡単に引っ込めるような性格ではない。
それに・・・淋しい思いをさせた分、一生懸命に作るから。なんて言われてしまっては・・・やはり、バジルだって嬉しかった。
いろんな意味でドキドキしながら待っていると、キッチンからはディーノの鼻歌が聞こえてきて。
一応、順調らしいと察してバジルの頬も緩む。
ディーノにお菓子を作ってもらえるなんて思っても見なかった事だけれど、・・・こうして待っていると、とても楽しみで・・・何だか暖かな気持ちになる。
ディーノも毎年、こんな気持ちだったのだろうか・・・なんて考えながら、バジルは愛しい年上の彼が作るチョコレートを、楽しみに待つのだった。
=============
ちょっと早いけどハッピーバレンタイン!
次はクロさんですね!えーと・・・お題は、「節分」でお願いします★
年が変わるといろんなことが変わりますね。よくも悪くも変化はありますが、私も皆様にとっても、楽しい一年になれば良いなと思います。
さて、雀さん(お疲れ様でした!)から頂いたお題はバレンタイン!書こうとして思い出しましたが丁度昨年、バジリ庵が始まってすぐ最初に貰ったお題がバレンタインでした(笑)懐かしいなー。
あの時は山バジ♀でしたが、今回はディノバジ♀で行きます★
=========
「・・・」
「・・・あちっ」
「・・・!」
「いや、大丈夫だって、あっち行ってろ。」
2月中旬、バレンタインデー。
数多くの女性が彼の為にチョコを届けているのだろうに、その本人・・・五千のファミリーを従えるボスであるディーノは、今、バジルの住む狭いアパートの部屋の非常に狭いキッチンで、チョコレート作りに励んでいた。
部下の居ない今、彼の身にチョコレート如きで何か起きては堪らないとバジルは心配そうにこっそりキッチンを覗くのだが、手伝う事も見守ることも禁止されている以上・・・バジルはただ、聞き耳を立てて彼が無事かどうかを探るしかなかった。
何でこんなことになったのかと言えば、話はつい昨夜に遡る。
元はと言えば悪いのは・・・自分なのだ。と、バジルは思い返して溜め息を吐いた。
バレンタインを控えたその日、ディーノからはどこかうきうきしたように電話が掛かってきて。
勿論、内容は・・・非常に控えめで遠まわしなチョコの催促。
そんな彼を勿論愛おしく思うバジルであったし、尊敬し、愛するディーノの為・・・既にチョコは準備してあった。
数年前にディーノから日本のバレンタインを教わって以来、毎年こうしてチョコレートを作るのはバジルにとって恒例の行事なのだ。
が、しかし。
教わってから数年来、バジルの心の中にはとても気になることがあって・・・
いけない事だとは思いつつ、バジルは聞いてしまったのだ。
ディーノ殿は、拙者にチョコをくれますか?なんて。
バジルはディーノから、バレンタインは好きな人にチョコを送る日だ!と教わっていた。だから毎年作ったし、ディーノもそれを楽しみにしていてくれた・・・が、今まで一度としてディーノからチョコを貰ったことはない。
丁度翌月になるとチョコのお礼にと毎年飴をくれるのだが、・・・バレンタインの日にチョコレートをくれることは一度もなかった。
ディーノとバジルは恋人同士で、・・・勿論、バジルはディーノを疑うわけではない。ないのだが・・・何故、くれないのだろうか・・・と、毎年気になっていたのだ。
言い訳のように、そんな説明を慌ててディーノに付け足したところ・・・驚いたのはディーノで。
どうやらディーノが教えてくれた日本のバレンタインの情報にはかけていた言葉があって、正しくは・・・「女の子が、好きな人にチョコを渡す日」だそうだ。
そしてそのチョコレートの返事に、ホワイトデーに男の子はキャンディを渡すのだという。
それを聞いて長年の疑問が解けたバジルはすっきりしたのだけれど、ディーノの方はそうはいかなかった。
自分が言葉足らずに教えてしまったせいで、何年間もそんな思いをさせていたのか・・・と項垂れた彼は、どう思ったか・・・チョコレート作りの材料及び道具を大量に買い込んで、バジルの家へやってきたのだった。
そして、今に至る。
バジルは勿論、そんな事はしないで良いと何度も言ったのだが・・・彼も一度言い出した事を簡単に引っ込めるような性格ではない。
それに・・・淋しい思いをさせた分、一生懸命に作るから。なんて言われてしまっては・・・やはり、バジルだって嬉しかった。
いろんな意味でドキドキしながら待っていると、キッチンからはディーノの鼻歌が聞こえてきて。
一応、順調らしいと察してバジルの頬も緩む。
ディーノにお菓子を作ってもらえるなんて思っても見なかった事だけれど、・・・こうして待っていると、とても楽しみで・・・何だか暖かな気持ちになる。
ディーノも毎年、こんな気持ちだったのだろうか・・・なんて考えながら、バジルは愛しい年上の彼が作るチョコレートを、楽しみに待つのだった。
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ちょっと早いけどハッピーバレンタイン!
次はクロさんですね!えーと・・・お題は、「節分」でお願いします★
今日からえらい寒いですね・・・鍋がやりたいです。
ちょっと遅れましてすみませんでした;;
いきまーす
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感謝
黒い手袋と
緑のコート
どちらも、バジルには大きいのだけれど
一丁前に(というにはあまりに不恰好ではあるのだが)身に付けて、バジルは公園のベンチに座っていた。
膝の上には、まだ暖かい紅茶。
手袋ごしにも伝わる温もりに、頬が緩む。
今日は、とても寒い日で。
ここは、木枯らしの吹く公園。
待ち合わせをした家光は、まだ着かないと連絡があった。
それでもバジルはつい、頬が緩んでしまうのだ。
黒い手袋は、長髪の剣士が貸してくれた。
曰く、指先が悴むのはいざと言う時に生死を左右する。だそうで。
散々人を馬鹿にして、もう少しそういう事にも気を配れを説教を垂れ、最後にはまた口汚く人を罵りながら、バジルの手には大きな手袋を、人形にはめるようにして貸してくれた。
緑のコートは、心優しい頼れるボスが貸してくれた。
偶々前の道を車で通りかかった彼は、驚いて車を止めて。
つめたくなった鼻の頭をつついて、困ったように眉を顰めた。
それから、家光が来るまで動かないというバジルに、いつものコートを被せてくれた。
大きいな、と笑って。自分は車だから、と言いながら暖かい紅茶も買ってくれた。
とても寒い風が、さっきから何度もバジルをかすめるのだけれど
その度に、風の当たらない部分に二人の優しさを思い出して、にやけてしまう。
一丁前な口を利くし
一人前に働くけれど
バジルはまだ、子供で。
こんな風に守ってくれる人がいることが、何だかはにかんでしまうけれど、嬉しい。
それから、すまん!と、謝りながらかけてきた家光に
その凍えた身体を、ぎゅっと抱き締められて。
何だか今日は、誰も彼もが自分を子供扱いするものだから
バジルはおかしくて、嬉しくて、小さく笑った。
こんな自分を気に掛けてくれる優しい人がいることの幸せを、じんわり噛み締めながら。
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感謝!
何か、・・・バジルも誰も喋ってないことに気付きましたが;;;
私の小指も悴んで危険なので、ここまでで;;;
次は・・・寒い日。でお願いしますっ!
ちょっと遅れましてすみませんでした;;
いきまーす
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感謝
黒い手袋と
緑のコート
どちらも、バジルには大きいのだけれど
一丁前に(というにはあまりに不恰好ではあるのだが)身に付けて、バジルは公園のベンチに座っていた。
膝の上には、まだ暖かい紅茶。
手袋ごしにも伝わる温もりに、頬が緩む。
今日は、とても寒い日で。
ここは、木枯らしの吹く公園。
待ち合わせをした家光は、まだ着かないと連絡があった。
それでもバジルはつい、頬が緩んでしまうのだ。
黒い手袋は、長髪の剣士が貸してくれた。
曰く、指先が悴むのはいざと言う時に生死を左右する。だそうで。
散々人を馬鹿にして、もう少しそういう事にも気を配れを説教を垂れ、最後にはまた口汚く人を罵りながら、バジルの手には大きな手袋を、人形にはめるようにして貸してくれた。
緑のコートは、心優しい頼れるボスが貸してくれた。
偶々前の道を車で通りかかった彼は、驚いて車を止めて。
つめたくなった鼻の頭をつついて、困ったように眉を顰めた。
それから、家光が来るまで動かないというバジルに、いつものコートを被せてくれた。
大きいな、と笑って。自分は車だから、と言いながら暖かい紅茶も買ってくれた。
とても寒い風が、さっきから何度もバジルをかすめるのだけれど
その度に、風の当たらない部分に二人の優しさを思い出して、にやけてしまう。
一丁前な口を利くし
一人前に働くけれど
バジルはまだ、子供で。
こんな風に守ってくれる人がいることが、何だかはにかんでしまうけれど、嬉しい。
それから、すまん!と、謝りながらかけてきた家光に
その凍えた身体を、ぎゅっと抱き締められて。
何だか今日は、誰も彼もが自分を子供扱いするものだから
バジルはおかしくて、嬉しくて、小さく笑った。
こんな自分を気に掛けてくれる優しい人がいることの幸せを、じんわり噛み締めながら。
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感謝!
何か、・・・バジルも誰も喋ってないことに気付きましたが;;;
私の小指も悴んで危険なので、ここまでで;;;
次は・・・寒い日。でお願いしますっ!